㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
これは、覚悟を持った方だけにみてほしいですね。
先日の内容は、経済における「脱成長理論」について、話しました。成長する上で環境を破壊、格差を広げ、マイナスしかないなら、もはや成長する必要はないのではないか?というのが、簡単な内容になります。
では、今日のテーマ「農業における脱成長理論」について、解説してみます。
最初に結論から言いますね。経済成長だけではなく、農業(畜産)においても「脱成長理論」はあり得ません。あり得ません。2回言いました。
中小零細企業において、必ず起きる現象が「自分の経営は食っていければそれでいい」という、ゆるーく今の経営が続けばいい・・というような、安定思考を求める形になりがちです。こういった安定思考をしている経営の多くは、5年後、10年後、経営が苦しくなります。これは、どの業界でも当たり前です。携帯電話がガラケーからスマホに変わったように、日々目まぐるしく、経済活動は動きます。あなたが望む望まざる関係なく、日々変化していくのです。
その過程で、旧時代の商品はその価値が下落していきます。新しい商品の価格が高い状態からスタートするわけです。これは、食料品だろうが、電化製品だろうが、一緒です。
ここでいう商品の価格とは、絶対価格ではなく相対価格であることが、重要です。相対価格には、人件費の変動や、原価などの変動がどんどん加味されていきます。でも、安定思考の方々は、自分にとって都合の良い情報しか信じませんので、そういった流れが読めません。仮に、自分が3,000万円という高価な機械を購入したとしても、お隣の国ではその機械を10台まとめて購入するという企業がゴロゴロいる場合、販売業者からすると、どちらを優先するでしょうか?ということです。
これが経済活動の実態です。
さらには、経営者が「現状維持」を選択すると、どんどん思考が他責思考になっていきます。なぜなら、自分は何もやり方を変えていないのに、なぜ儲からなくなるのか・・これは、誰かが自分から搾取しているからだ。エサやなのか?機械屋なのか?農協じゃないのか?という、他責思考に陥っていきます。
でも、農業(畜産)に関して、市場淘汰が起きづらく、新陳代謝が起きづらい業界になっています。それが、さらに安定思考に拍車をかけています。自分が儲からないのは野菜の価格が安いからだ。乳価が安いからだ。という、思考に陥りやすいわけです。
自分はこれ以上儲けなくても良いと考えることは、経営者として選択の1つかもしれませんが、世の中は自分の都合では動いてくれません。頭の良い経営者は、その不確定要素の多い世の中にどうやって対応していくか?ということを常に考えているものです。安定思考の経営者、脱成長を掲げている経営者には、この不確定の未来が見えていません。