㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
売上を最大に、経費を最小に、をやったとしてもキャッシュを増やすのは難しい。
緩やかにキャッシュが減るパターンと、急激にキャッシュが減るパターンがある。
緩やかに減るパターンは、なんとかギリギリ耐えることができる
が、急激に減るパターンでは、ほとんど経営は耐えることができない
急激に減るパターンとは、どういったことか
取引先の倒産によって、入るはずの入金が入らないという完全に外部要因による原因の場合がある。こうしたことは、こと酪農経営において、入金先が農協、JAであるために、ほぼ起きない、と酪農経営者は安心しきっている、と思う。実際にはそうであろう。しかし、この安心、慢心が経営におけるキャッシュに対する意識を緩ませている元凶だと思っている。毎月、決まった日にちに入金がされるために、その入金が確認できてから、支払いをする、という方もいるだろう。そもそもこの発想が、キャッシュを増やさなくては・・という意識とはほど遠い行為である。
売上が間違いなく、入金されるという職業はそれほど多くない。また、その入金がわずか1月でも遅れるということが、農業、酪農、畜産経営において「死」を意味するために、農協という組織が作られ、なるべく早く、入金するシステムが作られたのだと思う。
しかし、その優しさが、経営者を緩ませている原因でもある。
実際に、農協の入金は非常にスピーディだが、それ以外の、補助金などの入金はかなり遅れて入ってくる。これが、世の中では普通のことなのである。早いことが当たり前ではない。こうした意識を持って、キャッシュフロー経営ができているのだろうか。
いつ何時、支払いが1ヶ月分ではなく、2ヶ月分になってしまうケースもありうる。さらには、入金が1ヶ月、2ヶ月遅れてしまうかもしれない。あり得ない!と思うかもしれないが、現実には入金されない、可能性だってあるのだ。
最近は、アウトサイダー取引をする酪農経営も増えているが、そのリスクを完全に理解して取引しているか、僕は疑問である。必ず、入金する、という保証は、世の中のどこにもない。ましてや、入金先が1社だけというのは、かなりの高リスクである、ということ、取引先が倒産した時には、間違いなく入金が遅れる、もしくは、回収できない、可能性を考えて、きちんと売上の2ヶ月分、3ヶ月分の運転資金を確保できているのか、非常に疑問である。必ず、倒産して、回収できない事例が起こると予測している。そうなった時のために、キャッシュを確保できている経営がどれだけあるか・・・
売上を最大に、経費を最小に、してもキャッシュが増えない原因はここにある。どこまで、キャッシュに対する執念があるか、そして、それが、経営者だけはなく社員全てに浸透しているか、「絶対に会社を潰さない!」という意識がどこまで浸透しているか。
キャッシュが増えない・・という経営者は、必ず、どこかで「気が抜けている」。これくらい良いだろう・・というような経費の使い方、無駄な買い物、在庫が多い、整理整頓されていない、2重3重経費、さらには、無駄な人件費、社員1人1人がきちんとやれば足りる人件費が膨れてしまっているパターン、無駄な機械、無計画な投資、全ては「経営者の気の緩み」からきている。
何度も言っておくが、キャッシュを増やす経営を達成するのは簡単ではない。キャッシュが増えているように思ったとしても、減る時は一瞬である。圧倒いう間に、金は溶けていく。無駄なものに使っている場合ではない。しかし、使うべき時は使わなくてはならない。キャッシュに対して、どんな時も経営者は油断してはいけない。