㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
ある和食の飲食店がありました。そこはオーナー自身が料理を作る店で、東京でも腕利きと評判を得ていた人で、確かに上手い料理を食べさせてくれていました。ところが、店の経営が悪くなってくると、金策に追われ始めました。いつもお金のことばかり考える、そういう状態になると、とたんに料理の味がガタ落ちになってしまいました。経営の良し悪し、特にキャッシュがなくなった時、経営者の精神状態は荒んできます。精神状態が、仕事の良し悪しに必ず悪影響を与えます。
これは、料理人、飲食店だけの話しではありません。
どんな会社であっても、キャッシュがなくなると途端に経営は迷走を始めます。本業とは関係のないことを始めたりするものです。よく、青年実業家、マルチにさまざまな事業を経営しているヒトを世間では、成功者と呼びます。車の修理屋、焼肉屋、ハウスクリーニング、さまざまな事業を同時にやっていて「凄い」というのが世間の評価でしょう。実際は違います。車の修理が儲からないから、焼肉屋をやる。焼肉屋が儲からないから、ハウスクリーニングをやる。そうやって、新しい事業で、違う事業を穴埋めをしよう、と考えているのです。そうやって、新しい事を始めるわけですから、うまくいくはずがありません。仮に上手くいくようなビジネスがあったとしても、10年、20年も上手くいくはずがありません。白いたい焼き、タピオカ、高級食パン、同じものです。
キャッシュが尽きてくると、自分の血の沼を見たくなくて、隣りの芝生がとても青く見えてしまうものです。
キャッシュがなくなると、そんな当たり前のことも判断できなくなります。キャッシュがない経営は、余裕がないわけです。今!目の前の!という状況で、余裕がありません。
会社にとって、潤沢なキャッシュ、売上の最低2ヶ月分を確保する、というのは、経営者としての余裕であり、保険でもあります。仮に運転資金を借りたとしたら、そこで発生する金利は、保険の手数料という考え方になります。