経営者には、一見すると情緒不安定に見える人がいる。怒っていた人が急に笑う、というような極端なことはないが、朝言っていた内容が、夕方に変わっている、朝令暮改のようなことは平気で起こる。一貫性がないことが悪いことであるかのように言われる。社員が混乱する、と言われる。しかし、経営している人間から言わせると、これは経営者にとって当たり前のことである。

会社経営における、会社は、社員から見たものと全く違う。会社という存在は、社会から見れば、非常に安定したものであると錯覚する。そう簡単には潰れない、いつまでも続く、給与はいつでも滞りなく支払われる、そう思っている人がほとんどである。しかし、現実は違う。会社とは、常に流動的であり、永続しない可能性の高いモノである。たまたまそこにビジネスチャンスがあり、たまたまそこに目をつけた経営者がいて、そこにヒト・モノ・カネが集まって、会社が動いている、でしかない。そこでのビジネスチャンスの内容が変化すれば、それに対応して変化するか、それとも続行不能となるか、どちらかである。対応して変化するというのは、新しいチャレンジをして、成長できるかどうかということでもある。それができなければ、賞味期限が切れた時に会社は、無くなってしまうだろう。

元々の会社経営は、不安定である。その不安定を操縦する経営者も、不安定である。この不安定であることを恐れてはいけない。不安定が無くなることを求めてもいけない。これは、この先も無くなることはない。一定の脱出はできるかもしれないが、それは一時のことであり、その後続く経営の中ではまだまだ不安定は続く。そして、朝令暮改も恐れてはいけない。一貫性がない、というのは、表面的なことであって、会社が生き残る、ということに関しては、一貫性が常にある。会社の存続、生き残りをかけて、「これ」に取り組む、しかし、環境や状況が変われば、「こっち」に変更する。周りには理解されがたいことかもしれないが、経営者として必要なことである。