(株)DCFサービス 酪農コンサルタント 代表中野です。

僕は職業柄よくこの事を聞かれます。将来、「酪農はどうなると思いますか?」「将来に対して不安です」などなど。今日本では全体で約14,000件、その内毎年600件ずつ減少しています。ここ北海道では、今現在約5800件、およそ200件ずつ毎年減少しています。
それだけ聞くと大変な数字ですが、僕はちょっと数字の捉え方が違うかもしれません。今回はその辺りについて詳しく解説していきます。

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僕がYouTube動画でもお伝えしている通り、中小零細企業の10年生存率は10%以下。1年で70%、3年で50%、という推移でどんどん生き残りは減っていきます。それだけ、世の中での企業は新しきできて、そして潰れる、というの常に繰り返していると言えます。更には、この生き残った会社でも決算が黒字の会社は30%しかありません。残り70%は赤字なわけです。

これらの事を総合して考えると・・10年生き残って黒字を出し続ける会社・事業というのは全体の3%しかないという事実が見えてきます。ここで誰もが思うと思います。「この3%に入りたい!」と。そうでなくては10年後どころか来年も生き残れるのか?すらわかりません。しかし、いきなり3%に入ろうとしても無理なのでもっと具体性のある数字で説明したいと思います。

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この図は今提唱されている人口分布の数字で、以前からあるようなピラミッドタイプではなく、中間層が厚く、上位と下位は極端に少ないというモノを表している図になります。ここ日本でも、極端なお金持ちは少ないのと同様に、極端な貧乏、明日食べるものもないという人極端に少ないですよね?それと比べてほとんどの人が中間層に位置すると思います。この図は皆さんもよくきく「働きアリの法則」とも似ています。極端に働くアリ2割、中間6割、怠けるアリ2割、というやつです。
この図を使ったデータ分析によると、あらゆる産業は、上位16%に入らないと10年後生存できないと言われています。
つまり生き残りたくば、上位20%以下に入れるような経営・投資をしなくてはならないという事です。

酪農経営において上位20%に入る経営とはどんな経営でしょうか?

酪農経営は、作り出した生産物「生乳」は全て買い上げてくれるシステムになっています。その代わりどちらかという「薄利多売」に近いシステムになっています。そのシステムの中で、「利益」を確保する方法は2つ。「数」か「コスト」しかありません。しかし、コストに関しては限界があります。おそらく、重要度で言えば、8:2くらいの割合で「数」になるでしょう。
「数」を基準に考えた時に、よく聞くワード「メガファーム」およそ搾乳頭数100頭くらいで年間出荷乳量が1,000t、売上金額でいえば1億円を超えてくるような事業体の事をいいます。

このメガファームの割合が北海道では現在約1,000件。およそ18%になります。
はい。出ました。そうです。単純にメガファーム規模にならなくては、上位20%以下にはなれないという事なわけです。
これから後を継ぐ「後継者」、そしてこれから新規に始めようとする「新規就農者」には絶対知っておいて欲しい数字だと思います。

今世の中では飲食店を中心にボコボコ潰れています。もちろん、これはコロナショックの影響もかなり大きいですが、それは、元々目指している事業体の形が間違っているとも言えます。事業を始めるとは、事業を継続するとは、これらの数字を元にすると決して甘い数字ではありません。もし、あなたが本当に事業者として経営者になるのであれば、これらの数字から逃げてはなりません。

あなたの経営の参考になれば・・・