㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

なぜ、自分の経営が悪化したと思いますか?と聞かれた経営者は、エサが高くなったから、資材が高騰して、機械も高くなって、牛の値段が下がって、と言い訳をするだろう。
では、利益を出している経営者もいますけど、なぜだと思いますか?と質問されて答えられる経営者はいない。
自分にとってマイナスしか見ない経営者がいる一方で、「正しい経営」をしている経営者のやり方を真似しようと思わない・・これもよくあることだ。

前回の続き

では、正しい経営とはなんであろうか?

正しい経営とは、何度も言うが、キャッシュフローを確保して、長期的なコストを減らす、そういう経営であろう。
キャッシュフローを確保するとは、経営(仕事)にお金を使い、プライベート(私的)にお金を使わないことであり、モノの買い方などに頭を使うやり方という、言われれば当たり前の、極々単純なことである。
長期的なコスト低減も然り。今すぐではなく、この先5年、10年と労働コストも含めた様々なコストが下がるような、投資をいかに行なっていくのか・・という、経営しているなら当然のこと・・である。

正しい経営とは、こういった経営していく上で極々当たり前のことであり、本当は誰もが頭では分かっていることなのだ。でも、できない。この極々当たり前を実践することが非常に難しいのである。

経営者は、好景気の時こそ「慎重に」「買って兜の尾を閉めろ」「落とし穴に落ちる」という格言のもと、行動すべきだし、根拠のない成功にまどわされてはいけない。誰もがやっているから、なぜか、自分だけ乗り遅れているような、確実に儲かる方法があるような、そんな錯覚を起こす。
一方で、経営者は、不況の時こそ「大胆に」「リスクをとって」楽観主義でなくてはならない。
こんな話がある。

創業して間もない頃は、国内の会社がまともに相手してくれなかったので、新しい販路を開拓すべく単身アメリカに乗り込み、大きな会社相手に直談判に及ぶという行動に出ていた。1ヶ月近く日本を離れていると、どうしても日本食が恋しくなる。シカゴのホテルに宿泊した時、生貝を2ダースも買い込んで刺身にして食べただが、これがいけなかった。
たちまち食あたりを起こし、全身にじんましんが出て、救急車で病院に担ぎ込まれた。
病室でうーんうーんと唸っていると、医者がやってきて「ハウ・アウ・ユー?」と尋ねてくる。こちらは目が開けられないほど、まぶたも腫れ、息も荒くなっているのにである。私は当然ながら「ノット・ファイン(よくない)」と答えた。
翌朝、嘘のように元気になり、退院できるようになったのだが、その時医者から言われた言葉が忘れられない・・
「おそらく二度と会うことはないだろうから、成功の秘訣を教えてあげよう。あなたは起業家と聞くが、経営者がジンマシンくらいで『ノット・ファイン』なんて言ってはいけない。どんな時でも『ファイン』『エクセレント』と答えなさい。そうすれば明るい未来が見えてきますよ

ある社長

確かに・・・前回の融資を受けるという話しにも通じるとことがあるが、暗く先行きが不安定を顔に出している経営者に、誰が協力したいと思うのだろうか?誰がそんな人と、取引したいと思うのだろうか?
経営者は、この逆境と思われるような状況でさえ、チャンスにする!そういう経営者でなければ生き残れない・・であろう