(株)DCFサービス 酪農コンサルタント 代表 中野です。
酪農家さんが飼料計算すると牛をダメにしてしまうことが多いです。タイトルが強烈ですが、これは技術的な話しではありません。これは「人の欲望」と関係しています、という話し。
今回の話しは一般の方にはわかりづらいので、ちょっと解説も交えながら説明していきます。搾乳牛は「粗飼料」いわゆる牧草やサイレージなどと「配合飼料」輸入穀物飼料をおおよそ半分ずつ給与しています。ただし、搾乳牛は牛乳を出しているがゆえに常に代謝(運動)でいえばフルマラソンを走っているような状況にあるわけです。なので、しっかりとした栄養設計が必要となるわけです。それを「飼料計算」と呼んでいます。この飼料計算はソフトを用いて行いますので、一般的には、外部にアウトソーシングしてやってもらうことがほとんどです。
御多分にもれず、僕もそれを仕事にしている人間です。
この飼料計算はそこまで難しいソフトを使うわけではありません。なので、中には酪農家さん自信が自分で行うパターンがあります。その時、絶対に気をつけなればならないことがあります。
飼料計算すると牛の栄養状態が改善され、前の状態よりも乳量が出ることが多々あります。設計の際に使う商材を良いもの変えることでまた乳量が増えることがあります。乳量が増えると設計者は嬉しくもありそれが目的でもあります。これらのことは経営的にも非常に喜ばしいことですが、そこに「落とし穴」があります。
牛は「生き物」であるということです。「限界」があるのです。「生き物」であるがゆえに多少の無理がきいてしまうがゆえに、限界まで働かせ過労死させてしまうのです。
酪農家さん自身が飼料設計を行い、牛を壊している現場を僕は何度もみています。
ただ、これって酪農家さんだけの問題なのでしょうか?あらゆる経営者にいえる問題ではないでしょうか?従業員さんを過度に無理させて結果的に退職に追い込んでしまうケース。他に機械に過度な負荷をかけ壊してしまったりするケース。などなど数えあげればキリがありません。
この「バランス感覚」ともいうべき感覚が経営者にとって非常に重要なスキルになってくると僕は思います。
あなたの経営の参考になれば・・・