㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
なぜ、経営が悪くなるのか。
その理由はたった1つ、「キャッシュが減るから」である。口座のキャッシュが減る、資金が減る、これが理由である。たとえ、決算書上が赤字であっても、減価償却が多いなどの理由であったり、借入の返済が少ない場合など、キャッシュさえ毎月増えていれば、経営はそうそう悪くならない。
経営が悪化する理由は、キャッシュが減ることにある。
酪農経営の場合、乳代や個体販売の売掛は比較的早く入金される。そして、農協が相手の場合、ほぼ確実に決められた期日に入金される。これは経営していく中で非常に重要なことである。
売上金の、売掛金の回収は問題ないのである。
では、問題は支出にある。
当然のことながら、キャッシュが減るという事実は、売掛金よりも支払うお金、支出が多いことを意味している。特に、北海道の場合は、自給粗飼料の収穫と在庫の問題で、確保した1年分の支払いをほぼその単月で支払う必要がある。その支払いの他に、年末に発生するリース事業などの返済。さらには、機械購入のローン返済などがある。
これらバラバラにある、支払いを月換算で考え、毎月自分で決めた金額を、キャッシュとして確保しなくてはならない。
このキャッシュの確保に関して、経費削減というモノでは決して確保できない。電気を消すとか、安い資材に切り替えるとか、そういった安易な方法では、キャッシュの確保はできない。
なぜ?キャッシュが減るのか、自分の経営を、自分で分析し、その上で本気でそこに取り組んでいかなくては、改善はできない。
経営において、利益は誤魔化せるが、キャッシュは誤魔化せない。存在しないキャッシュを、あるように見せかけることはできないのである。
自分の経営と徹底的に向き合い、「どうしたらいいのか?」を真剣に考えなくてはならない。
もしも、仮に月の売り上げが500万円だったとして、ここで飼料代の原価を除き、仮に250万円が粗利益だとする。であるならば、この250万円のうち、常に、20%の50万円をキャッシュとして残したい!と決めたなら、残された中で固定費を確保するしかない。
この数字を自分で作ることができるかにある。
もちろん、キャッシュを増やせる利益を作ることが確実な方法ではあるが、それができないのなら、支出を抑えるしかない。しかし、一方で売上を増やすための投資をし続けなくてはならない。抑えるだけで経営が良くなるなら、誰も苦労しない。皆、抑えるだけで良くなると思い込んで、甘い話しに乗っかり、失敗する。そうではない。一方で、将来の売上確保のための、投資もしなくてはならない。
このバランスが非常に難しい。自分の経営においてこうした判断、バランスを取ることは、税理士もできない、農協もできない、経営者自らが当然やるしかない。
支出は抑える、でも、投資はする、この矛盾する2つをバランスよくやれなくては、経営はできない。ここには複雑な計算が必要である。経営者はいつもここに悩まなくてはならないのである。