㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

会社がこの先どうなるか分からない。今の状態がこの先も続けば、確実にキャッシュが減り、そのまま倒産するかもしれない。このままだと、会社が潰れてしまうかもしれない。

経営者が抱える不安というものは、実際に体験したものでないと、分からない、理解できないと思います。そこにあるプレッシャー。実際に、残念なことに「自殺」してしまう方がいるわけですが、そうした自殺する人の気持ちが痛いほど分かります。多分、この「不安」から解放されたかったのかな・・・と。もちろん、解放する方法は他にいくらでもあるわけですが、いつの間にか選択肢が少ない、と思ってしまったのかなと。そう思ってしまいます。

この経営における不安から解放されたい。経営者は全員、そう思っています。
不安のない経営がしたい。安心して経営したい。そう思っているはずです。
しかし、これは正しい経営者の思考ではありません。
経営者の正しい思考、認識は、この「不安な状態」「不安定な精神状態」が、経営者における通常だ・・ということです。
つまり、経営者が常に「会社が潰れるかもしれない」「この先どうなるのだろう」と感じることは、経営者にとって、正常な状態、だということです。
「経営は楽になった」「今自分の経営は安定している」という精神状態は、異常だ、ということです。
これは、普通の思考とは、真逆です。

世間一般の普通の発想では、経営が安定していて経営者の精神が落ち着いている状態が正しい、とされていますが、これは間違っている、ということです。経営者の精神状態は、常に不安定な状態であることが、正しい、ということです。
確かに、不安定な精神状態でいることは「辛い」です。この辛さから解放されたい、と願うわけです。が、解放された状態は、決して、会社にとって良い状態とは言えない、ということです。
非常きつい事実ですが、この不安定状態が絶対に嫌だ、という方は、経営者を辞めた方が良いかもしれません。経営していく上で、自分の責任ではない不幸が必ず起きます。自分のせいではありませんが、その責任を経営者は取らなくてはなりません。世界規模の経済ショックから、社員の事故、事件まで、ありとあらゆる不幸が起こる可能性は常にあります。それらすべての責任を経営者が、丸抱えして、その上で、そこから挽回しなくてはなりません。常に備えなくてはなりません。
経営者は、この「不安定な精神状態」から逃げることは許されないのです。