㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
原理原則の観点から考えてみる。
2025年5月 東海牛乳で「風味異常のクレーム」が発生し、230万本の自主回収を行なった。
2025年6月 さらに220万本以上の自主回収を行うこととなった。
これによって、自主回収は450万本となり、1本200円と考えると、9億円、おそらくは、10億円以上の損害となるだろう。
東海牛乳の売上高を確認すると
2020年3月・・108億円
2021年3月・・116億円
2022年3月・・135億円
2023年3月・・162億円
2024年3月・・180億円
2025年5月・・211億円
現在、売上高211億円
・仕入れの生乳の受け入れ先は、95%アウトサイダーであること
・現工場と新工場の2拠点の移管中であったこと
これによって、現工場1箇所の最大45日間の工場停止(新工場は稼働)。さらには、その間の「生乳受け入れ停止」を発表している。
現工場の東海牛乳の日処理量は、100~120トンで、その生乳が転売、もしくは、廃棄になるかもしれない・・・。仮に廃棄となった場合、その補償を求める!と言っているが、裁判になれば、最低2年はかかる。東海牛乳も相応の損害30~40億円(自主回収と工場停止)以上、発生していると思われるので、これによって経営が傾く可能性も高い。
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なぜ?風味異常が起きたのか、工場なのか?生乳なのか?その原因は、横においといて、今!どうする!?が問題である。売上金が入金されない事態になって、今手元資金に余裕があるのか・・・誰かが何とかしてくれる?農協が、銀行が?その考えは甘い。セーフティネットの考えはあるかもしれないが、そこまで甘くない。返せるかどうかも分からないのに、貸す金融機関はいない。実際に、自分の手元資金はどれだけあるのか、かが分かれ目だろう。
このことは、対岸の火事ではない。同じケースではないが、似たような事件が自分の会社の身に振り注ぐことも必ずありうる。突然の資金難。突然の資金が舞い降りることはないが、突然資金難になることは十分ありうる。だからこそ、常に、自分の会社にキャッシュを貯めておかなくてならない。金融機関に借りててでも、会社のキャッシュは潤沢にしておかなくてはならない。
インサイダーだから安心だとか、だからアウトサイダーから・・・・とか、そういった議論をする気はない。いつ何が起こるか分からないのが、「現場」だから。明日は我が身である。インサイダーだから、安心という保証はどこにもない。あるのは、経営者自身の経営者たる自覚と責任だけである。自分の経営、会社を守るのは、自分である。