(株)DCFサービス 酪農コンサルタント 代表 中野です。

何となく既得権益って聞くと「ずるい!」って感情が先にきませんか?
何だか不労所得のようなイメージがあります。黙っていても、お金が入ってくるようなそんなイメージが僕にはあります。

既得権益とは「利益が守られている」という意味ですが、その反対語を調べてみたんですが、実は存在しませんでした。既得損益?という言葉なんでしょうか?まあ、冷静に考えればそりゃあそうですよね。誰も損してまで守りたいモノはないし、何よりも継続できません。今世の中に存在している既得権益の中には、本当は「既得損益」が含まれていることがあるんじゃないでしょうか?

白タク規制があるから、日本ではUberができない。などの事例はありますが、2016~2019年にかけて起きた騒動「生乳の一元集荷」の既得権益(手数料)はまさしく既得損益だったんじゃないのかな?と思うわけです。

イギリスでは1994年に生乳を一元的に集荷・販売し、さらには乳製品加工や営農指導、研究開発を担ってきたMMB(ミルク・マーケティング・ボード)が解体されました。このMMBは日本の指定団体よりも強力な組織だったようで、自国の生乳を100%集荷・販売していたそうです。だからこそ反発も多く、解体されてしまったようです。
しかし、解体されて何が起こったのか?

乳価が暴落するし、急激な価格変動についていけない酪農家が廃業したそうです。
最終的には量販店が生乳市場の主導権を持つようになり、市場競争と個人で戦わなくてはいけなくなりました。
今EUでも2015年にクオーター制度という生産調整が撤廃され、同じ道を辿っています。乳価は50円前後から38円まで落ち、超大型化かオーガニックかの2択に迫れているそうです。

自由化というと何か聞こえが良いのですが、自分たちで「販売」という「営業」の仕事が増える事を考えると、それを今の仕事の他にできる経営者の方がどのくらいのいるのか?そんなにはいらっしゃらないと思います。

あなたの経営の参考になれば・・・