(株)牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

2チャンネル創設者の ひろゆきさんがこんな事を言っていました。「非正規雇用にメリットがあると思い込んでいる労働者は「肉屋を応援する豚」だと。一見正しそうな錯覚に陥りそうになりますが・・・というのが今回の話しです。

世間でよく言われる非正規雇用の「敵」とは誰なんでしょうか?非正規雇用を雇用する経営者でしょうか?経営者は、実は労働者とは利害が対立していません。経営者は日本政府がルールに則って、雇用契約をしているだけなわけです。世間では、非正規雇用は「使い捨て」とか「契約が切れたらポイ捨てされた」とか色々言われますが、問題の本質はそこではありません。
本来、非正規雇用は「安定しない代わりに高賃金」なはずなのに、日本の場合「不安定雇用なのに低賃金」という市場原理を無視した歪な構造になっているわけです。

つまり、決められた人件費という枠の中で、正社員と非正規社員がそのパイを取り合っている構造になっているわけです。あれだけ、労働者の権利や自由を求める正社員たちも、非正規雇用の権利となると黙ったままです。組合も存在しません。彼らからすれば、自分たちの給料や手当てを減らしてまで、非正規社員を守ろうとはしないわけです。ちなみに、昔この正社員と非正規の垣根を越えよう!と言って実際に行ったのは、電話相談窓口だけだったというオチまでありました。

具体的にどれだけ歪な構造になっているのか?というと・・・例えば、酪農経営において、季節労働として1ヶ月だけ時給3,500円で雇用しようとすると、今いる社員からなぜ?自分の給料よりも高いのか?という反発を受けた・・・なんてことも実際にあります。

さらには、この非正規社員の割合は日本でどれだけ存在しているのか?というと、労働人口の3〜4%ほどにしかなりません。そのほとんどは主婦のパートだったりするわけです。

本当の問題の本質は、世の中の企業たちの「人件費」のパイがどうしたら大きくなるのか?つまり、企業が利益を確保する方向に向かわなかくては、正社員だろうが非正規だろうが経営者側は、その小さくなってしまったパイの中やりくりするしかありません。
冒頭の派遣労働者法などの規制緩和をしなければ、正社員が増え続ける・・・というのは夢物語で、企業の成長無くしてその考えは通りませんし、企業が成長するためには、労働者の流動性をよくしなくてはあり得ない・・というジレンマに陥っていくわけです。

実際問題、企業側は電通やタニタなどの「選択制定年」や、みずほ銀行などなどあの手この手でこの「限られた人件費」というパイの中でやりくりしています。これが、実態経済なわけです。