(株)牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

水素エネルギー・・・水素は元素記号Hというのは誰でも知っている
空気の14倍軽くて、燃やすと巨大なエネルギーがある、沸点は-253℃、色もない匂いもない、というモノであることは小学校で習った通りです。
なんと、貯蔵もできます。-253℃まで冷やすことで「液化水素」にでき、圧縮することで「圧縮水素」にでき、改質することで「アンモニア」として保存もできる。
さらには使い道も豊富。石油の代わりになら、発電も、家庭用燃料電池としても、EVの燃料電池として、石炭の代わりに製鉄の強度を上げる、ということも可能。では・・何が課題なのか?

課題1・・水素単体を取り出すテック
水素を単体で取り出すためには、そこにエネルギーが消費されては意味がない、のでどれだけ少ないコストで水素を取り出せるか?の技術開発が必要

課題2・・投資予算が足りない
世界では今後58兆円が研究開発費としてこの水素エネルギーに使われると言われている。世界に先駆け1番最初に始めたのは日本だった。それを証拠に、「水素動力のFCV(燃料電池自動車)の開発は進んでいる」さらには、家庭用「発電所」として家庭用燃料電池「エネファーム」が少しずつ浸透している。が、ところが!、が!この水素発電等に回す予算が大幅に削減される見通しに、というのは2030年実用化を目指していたが、それが実現しないため、ヨーロッパでは2050年実用化を目指して巨額の投資マネーが動いてる。それが世界規模の58兆円という投資マネー。

「水素はバカのやることだ」という意見もある
その発言をしているのがあのイーロン・マスク「Fuel Cells = Fool Sells(水素燃料電池はバカな売り物だ)」という発言。もちろん、これは現状のEVメーカー代表の側面もあると思われる。全固体電池の開発に力を注いできた彼らにとって、新しい燃料電池は脅威でしかないからだ。
さらに、今現在水素を抽出するのにエネルギーが必要になるために、効率が悪いという指摘も十分説得力はある。

課題3・・水素の輸送コストの問題
エネルギー密度は天然ガスの33%ほど、圧縮にはコストがかかる
-253℃までの冷却コストがかかる
ガソリンとは違い、金属を劣化させる特性があるために既存施設はそのまま使えない

課題4・・発電する際のコスト
水素エネは燃焼速度が速いために、既存の火力発電タービンでは難しい
さらには、すぐに発火してしまう「劇物」なのでその管理、運用のトラブルも想定される

とまあ、課題、問題もあげればキリがないほどあるのは事実。だから、イーロンも「実用的ではない」という発言をしたんだろうとは思う。こんな情勢の中、日本のトヨタは水素自動車の開発に精力を注いでいる。2050年には実現可能かも?というのが今のところの可能性ではあるが、それに今のトヨタがどこまで開発投資できるのか?昔むかし、シルクの機織り機械工業だったトヨタがその事業を捨てて、当時まだまだ未開発だった自動車産業へと転換したように、上手くいくことを願っている。