(株)牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

2019年頃から日本では終身雇用はオワコンだ!みたいなことが言われてきました。でも、実際はまだ続いてはいます。労働者からしたら、一度就職できたのならそのままそこで働き続け、定年まで働きたい!というのが、正直な気持ちだと思います。労働者が求めるのなら、それが正しい!というのが、民主主義(多数決)なのに、それでもなぜ?オワコンだと言われるのか?その根本的な理由を解説します。

あるコメンテーターがこんなツイートをされていました。

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コロナが起きても日本は圧倒的に失業者が少ない・・完全失業率は少ないわけです。完全失業率とは、パートやアルバイト、学生、主婦は含まれない、仕事を探しても仕事に就くことができない人の割合です。日本は圧倒的に少ないわけですが、これをみたある人は以下のように思いました。

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失業率が低いのは日本の終身雇用があるおかげだという理解で、世界も逆に日本を見習うのではないでしょうか?という認識です。

確かに、この失業率の数字だけを見ると日本の終身雇用は「良いこと」のように思うかもしれません。しかし、それは「木を見て森を見ず」という諺のように、狭い視野でのことでしかありません。世界中の企業では、もちろん日本も含め、社員を多く抱えて売上をあげるという戦略を取っている企業は今1つもありません。例えば、日本のトヨタは自社で36万人、関連企業も入れると550万人がいるとされていますが、世界のトップ企業では3〜10万人しかいません。それなのに、時価総額や利益は数倍から数十倍生み出しています。
本来、社員の給料というのは、「労働分配率」という言葉の通り、企業が生み出した利益が多ければ多いほど社員の給料が上がっていきます。しかし、その分けるべき社員の数が多ければそれはほとんどあり得ません。社員数が1/10、1/100で生み出す価値が10倍以上となれば、それは外国企業に勝てる道理がありません。

「日本の国内の内需だけでも良いじゃないのか?」日本には1億人の国民がいます。その国民の消費は確かに途轍もない金額でしょう。でも、日本には資源がありません。日本は輸入大国と同時に輸出大国にならないと、企業の維持も成り立たない状況です。車なんて、国内よりも海外需要の方が多いのがその実例です。

終始雇用を維持しようとする行為は、「経済成長」と「人命」を犠牲にしなくては成り立たない論理なのです。それが証拠に、頑なに終始雇用を維持しようとした結果、人口10万人あたりの自殺率は、日本はG7中7位、日本の労働市場をモデルにした韓国はなんと2位です。失業率16.4%のスペインは35位・・・これが現実です。