㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

物価上昇しているのに、インフレじゃない?これは・・・

景気が不景気かどうか?は、おおよそ経済成長率という数字で確認しますと、GDP(国内総生産)で表せると思います。国内の需要が減少して、モノが売れない状況になり、デフレが起きるわけです。今まさしく、コロナによって需要が落ち込んでいるわけです。

その上、物流停滞の煽りを受けて、供給不足になり、原油価格・原料価格が高騰しています。ちなみに、中国→アメリカのコンテナ輸送経費は5倍になっていると言われています。景気が後退しているのに、物価が上昇していく状態を「アタグフレーション」です。
インフレは、物価上昇とともに賃金も上がっていくという現象の違いです。

この「スタグフレーション」、アメリカでは起こっていないのです。
アメリカでは、人出不足が起こっていますが、それとともに賃金が上昇しているのです。ニューヨークの飲食店のウエイターは最低でも2200円(チップ除く1800円ほど)時給を提示しないとヒトが集まらないそうです。それでも、一般市民はヒイヒイだと思います。賃金上昇は物価上昇の後からですからね。

日本でこの状況が続くとバタバタと潰れる企業も増えてくるでしょう。原料は上がるのに、値上げできない。大手大企業はどんどん値上げを敢行しています。体力があるはずの大手ですら、今の需要が減ったデフレの状況でも値上げしなくてはならない・・という状況はかなりの深刻です。
酪農業界でも、一部乳製品は値上げになっています。これに対して、批判する方がいますが・・原価と物流を混同してはいけません。海外乳製品は世界的に値上げ、さらには物流費は値上げ、原料は確実に上がっています。

じゃあ、輸入の代わりに国産を使えばいいじゃないか?
国産は輸入の3倍の価格です。
じゃあ、輸入を止めればいいじゃないか?
バターやチーズを国産に切り替えると、プール乳価は大幅下落です。

まあ、こんな状況ですね。
乳業会社は利益を出しているじゃないか?
企業として当然です。限られたリソースの中で業務の効率を優先するのは当然です。決して酪農家から搾取している構造になっていません。ホクレンもその他の関連企業も結果利益を計上しています。
逆説的な言い方をすると、酪農家に利益が出れば乳価を下げてもいいのか?という話しになります。暴論ですね。

何も考えないで・・経営していくにはかなりリスクがあると言えます。