㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
酪農界隈でもよく聞くこの言葉、経営を拡大していくと失敗するリスクが高くなる、というモノ。スケールメリットは、スケールすることで、原価交渉ができ下がり、コストを落としていくことで、メリットがある、というもの。
ところが、現実はスケールしたのに、なかなか上手くいかない・・のをみて、スケールデメリットの方が多いという考えの人も多い。
なぜ、スケールデメリットが起きるのか?
それは、「質」が伴った拡大であるかどうか・・ということだ。
「質」が伴う・・とは、どういうことか?
ある飲食店があるとして、今のお店は繁盛している。そこで、2店目を増やした。ところが、あまり経営が上手くいかない、が、おそらく1年経てば上手くいくだろうと、3店目、4店目と増やしていく経営方針では、スケールデメリットになる・・という話しだ。
これは、スケールしたから上手くいかないのではなく、もともとの本業の経営が上手くいっていない、ましてや、経営者自身が全てをやれるわけではないので、さらに質に対して、シビアになっていかないといけないのに、それすらできないのに、スケールはしてはいけない・・ということだ。
順番が違うのである。
「質」があって初めて、スケールメリットが出てくるので合って、「質」が低いスケールには、デメリットしかない・・言われてみると当たり前のことだが、現場だけにいるとドツボにハマりそうな例がたくさんあると思う。
ここの「質」とは、飲食店経営であれば、QSCといった基本的な姿勢の徹底だろう。酪農経営でいえば、良質な飼料と良質な環境による牛の能力を引き出した状態があって、初めて、スケールメリットが出てくる・・という、至極当然の話しであある。
このスケールデメリットに関しては、過去さまざまな失敗がある。あの「いきなりステーキ」も、急速な出店攻勢に対して、オペレーションの質が追いついてなかったのが、衰退の原因と言われている。これは、酪農経営の現場でも起こりうる失敗ではないだろうか。
経営における「質」について、よくよく考えていかなくてはならないと思う。