㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
酪農だけではこのままでは儲からない・・・から、和牛繁殖を始めるか?六次化か?和牛受精卵か?という発想をする方、かなり多いです。
これを事業の多角化・・というのですが、中小企業論の中では「多角化は死屍累々の道」と言われていることを知っておかなくではなりません。つまり、多角化を選択するというのは、茨の道、険しい山、より困難な挑戦、ということです。
決して、楽して儲ける方法ではありません。
本業で利益とキャッシュが潤沢にあるから!、より困難になる多角化経営のチャレンジである・・という意識の上で、多角化すべきですが、ほとんどの方は、楽して儲かる方法のために選択しているように思えます。そんな方法はありません。
女性用下着のワコールの創業者 塚本幸一社長に、京セラの稲盛さんが「ワコールは女性用下着メーカーとして大成功されているんだから、アンダーウェアにも進出されてはいかがですか?同じ女性が顧客だからできるでしょ?」と言うと、塚本さんは「そんな簡単にできるなら苦労しない。下着で成功したからといって、アウターでも成功するとは限らないのだ。パジャマなどのナイトウェアに進出しているが、ワコールは後発メーカーで、苦戦を強いられている。」
ワコールを一代で築いた創業者でさえ、苦戦している現実があります。
なぜ?多角化が難しいのか?
経営には、ヒト・モノ・カネの3要素がありますね。これが、多角化すると分散するから難しくなります。
実際に、本業ですら、このヒト・モノ・カネを工面するだけでも相当大変な思いをしながらやっているわけで、その苦労を単純に2倍、さらには、経営者として時間を半分にするわけですから、実際には4倍大変になるわけです。
4倍の苦労をするなら、その4倍の時間、労力を、元々の本業に向ける方がよっぽど、成果が出る!と考えるのが、普通なのだと思います。
酪農経営であれば、どうすれば今よりも乳量を1キロ増やせるのか?事故率を今より減らすには?子牛を死なせないためには?課題はいくらでもあります。それを1つ1つ丁寧に対策して、対処していく方が結果がついてくるはずです。
そこには、もちろん苦痛と苦労が伴います。さらには、自分では成果が出ていないのでは?という錯覚もあります。そういったモノに経営者は耐えなくてはなりません。まずは、本業でしっかりと利益を出すこと、そして、キャッシュを増やすこと。そこには、楽して儲かる方法なんてありません。