㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

会社を作って間もないころ、私はある経営セミナーに参加しました。講師の中に、本田技研工業(HONDA)を創業された本田宗一郎さんの名前があり、高名な経営者の話しを一度聞いてみたいと思ったからでした。ある温泉旅館を借りて二泊三日で行われるもので、参加費用は数万円。当時は大金でした。私はとにかく本田さんの顔を見、声を聞きたいという思いが強く、周囲の反対を押し切ってなかば強引に参加しました。
当日は、参加者は温泉に入って浴衣に着替え、大広間に座って、本田さんが来るのを待っていました。しばらくして本田さんが姿を現しましたが、浜松の工場から直行してきたような油のしみた作業着姿でした。そして開口一番、こう一喝したのです。
「みなさんは、いったいここに何をしにきたのか。経営の勉強をしにきたらしいが、そんなことをする暇があるなら、一刻も早く会社へ帰って仕事をしなさい。飲み食いしながら経営を学べるわけがない。それが証拠に、私はだれからも経営について教わってない。そんな男でも会社が経営できるのだから、やることは1つ。さっさと会社に戻って仕事に励みなさい。」

稲盛和夫「生き方」より

これを創業して間もなくの稲盛さんが聞いて、「オレも会社に戻って仕事しよ」と思ったそうです。
研究や勉強会が大好きな経営者の方が多数います。飲み食いしながら勉強?それが果たして身になるのか。または、研修後の飲み会の方が大事だ、コミニケーションだ、という経営者が多いと思いますが、そんな研修や勉強会で学べるの、何か意味があるのでしょうか。

「現場で汗をかく」とは、どういうことを意味しているのか。
それは、経営していく中で、実際に作業や行動をすれば、そこには「成功」はありません。あるのは、「ものすごい数の失敗」と「同じ失敗を繰り返さない改善」、この2つが繰り返し繰り返し続きます。計画通りに実行できた、というのはあくまで結果論であって、完璧な計画というものはあり得ないし、計画を立てることよりも実行する、行動する方がよっぽど大事だし大切なこと、その上で行動や実行や達成は、本当に大変なことだということです。
その実行する中での「気づき」「経験」「同じ失敗を繰り返さない=改善」を会得すること、それには「現場」で自ら実行することでしか得られない、ということを稲盛さんも本田さんもおっしゃっているのです。