㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

楽天モバイルが大赤字で、いかにも楽天がいつ潰れるか?というような話しになってしまうが、楽天は、なぜ、モバイル競争に参入したか。楽天経済圏を作りたい、というのは、我々日本人の日本の中だけの発想で、楽天は、世界に打って出たかった。それが、「楽天シンフォニー」である。
楽天シンフォニーは、仮想化と呼ばれる。
非常にわかりづらいが、携帯のアンテナ塔は、今世界で年間10~15兆円かかっていると言われている。アンテナ設置にそれだけのインフラ投資がかかっている。そこでは、新しい機能が増えるたびに、新たにアンテナを設置しなくてはならない。ファミコンでは、スーパーファミコンのソフトはプレイできない。しかし、楽天シンフォニーを導入すれば、簡単にアップデートできる。ファミコンでも、スーパーファミコンのソフトでプレイできる。スマホの「アプリ化」に近いイメージ。ハードを変えなくても、ソフトを使える。それによって、アンテナ設置のコストが、1/3や1/4に減少する。これは、世界でまだどこの携帯会社もできていなかった。

そこで、2019年頃に、この楽天シンフォニーを世界に広めるべくスタートしたのが、楽天モバイル(携帯事業)である。そもそもの発端は、楽天経済圏ではない。この楽天シンフォニーを世界で初めて実装して、Amazonを超えるECブランドを作るのが、三木谷さんが考えたプランである。

言うは易し、行うは難し。
そうは言っても、初期投資が5000億〜6000億。その見通しもすっ飛ばして、すでに1兆を超える投資額になり、楽天の決算数字は、巨額の赤字を叩き出している。一方で、この楽天シンフォニーを導入したいという企業も、海外を中心に増えてきている。

この今の状態を理解したとして、2019年時点で、我々は経営者として、この巨額投資にGOを決断することができるだろうか。5,000~6,000億円の投資。「もうやるしかない!」と決断できるだろうか。
こういった経営者目線で見ると、楽天の今の状況は非常に勉強になる。