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自分には自分の与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、他の人には歩めない。自分だけしか歩めない、2度と歩めぬかけがえのないこの道。広い時もある。狭い時もある。登りもあれば、下りもある。坦々とした時もあれば、かきわけかき分け汗する時もある。
この道が果たして良いのか悪いのか、思案に余るときもあろう、慰めを求めたくなる時もあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか。
あきらめろ、というのはではない。今立っているこの道、今歩んでいるこの道、ともかくもこの道を休まず歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道ではないか。自分だけに与えられている大事な道ではないか。自分だけに与えれているかけがえのない道ではないか。
他人の道に心奪われて、思案に暮れて立ちすくんでも、道は少しもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。それがたとえ遠い道にのように思えても、休まず歩む姿から必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。
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・・・これは、松下幸之助さんの著書の一文である。会社経営の中で、うまくいくことなんて、わずか10%くらいだろう。経営の90%が、うまくいかない、失敗、試行錯誤の連続である。そこで、諦めてしまうのか、それとも、休まず進むことができるのかどうか。それには、自らの「志し」が必要となる。ただの金儲けのためなら、何もこんな苦労なんてしなくてもいいのでは?ただ、この先の生き残りだけを考えるのなら、こんなにも大変な思いをしなくてもいいのでは?
他人から蔑まれ、疎まれようとも、自分の経営の「志し」のために、頑張れるかどうか。それこそ、自分の「道」を決めて、そこにひたむきに邁進できるかどうか。カネ(キャッシュ)も、モノ(機械)も、ヒト(人材)も、すべてつぎ込んで、行うのが経営である。もしくは、カネ、モノ、ヒト、全てが足りない、そういう状況でも、何とかするのがまた経営者である。
今足りないものを嘆くのではなく、足りないからこそ、それを埋めるために、経営者自らが行うのである。
辛く苦しい時に、この松下幸之助さんの「道」を読んでみてほしい。必ず勇気づけられるはずである。