なぜ倒産したのか。あの大企業が・・、え?あの会社が・・。倒産とはある日突然、周りは聞かされるが、中の人間、特に経営者は、その実態をヒシヒシと感じている。まずは、倒産の絶対的な条件を述べておく。倒産する原因は、赤字でも黒字でもない。キャッシュが尽きた時、これが原因である。キャッシュが尽きる原因の1つに、赤字経営があるかもしれないが、赤字が直接的な原因ではない。キャッシュが尽きた時に、払わなくてはならないモノが払えなくなった時に、会社が潰れる。
経営におけるキャッシュは、その管理が非常に難しい。キャッシュを増やそうとしても、そう簡単には増えない。しかし、一方でキャッシュは驚くほど簡単に減っていく。あれよあれよいう間、みるみる減っていくのがキャッシュである。ここには、経営者の油断もあるかもしれない。本当に驚くほど減っていくのである。これは、経験した経営者なら理解できることかもしれないが、キャッシュがどんどん減っていく恐怖は本当に恐ろしい。自分の会社が潰れるかもしれない・・そういう恐怖と闘いながらの経営となるため精神的にも不安定になる。これが運転資金融資でできたキャッシュなら、その恐怖はなおさらである。
安いからといって在庫を大量買いする。過剰な在庫。使い切るのに1年かかる。必ず売れると思っていた新商品を大量に作る、工場を建てる、投資をする。これらの判断が本当に正しかったのかどうか。
成功する、上手くいく理由は、説明できない「運」が絡むことが多いが、倒産する原因は、必ずこの経営者の判断ミスによる。前に成功した方法が2回も3回も通じるわけではない。同じトラブルが起きるとは限らない。こうしたトラブルをきちんとした対処をしていかなくてはならない。
売上を伸ばす、会社を成長させることは非常に重要である。現状維持では、下がっていく単価、増えていくコスト、に対して対応できない。これは、酪農経営に限らず、他のどんな職種であっても同じである。会社は成長させなくてはならないのである。しかし、その成長の仕方が問題である。その過程が重要である。そこで、どんぶり勘定。経営者の気づかないミス。判断ミス。確認不足。数字を見ていない。これらの行動はあり得ない。こうしたミスが連続すれば、必ずキャッシュは減ってしまう。
何か1つを是正すれば、経営が良くなる、方法は存在しない。自分の会社における全て、全てを把握し、総合的に判断する、こういった抽象的な言い回ししかできないが、これが事実である。