経営規模が小さい会社でも、経営は厳しいと言われる。売上が低ければそれだけ利益の総額も少ないわけで、その少ない利益から「投資」をするとなれば、それはかなり厳しいだろう。
一方で、売上が5億、10億、50億を越えれば、経営が楽になるのか?経営が良くなるのか、というとそんな単純な話しではない。経営規模が大きくなっても、厳しいことに変わりはない、という話しをよく聞く。
会社において、売上が大きい会社の方が「有利」であることは間違いない。経営において、売上拡大、利益拡大を目指す経営は間違ってはいない。しかし、当然のことながら、売上規模が拡大すれば、今まで経験のなかった「悩み」は、多く増える。人材の悩み、人材教育の悩み、投資のタイミング、自分1人でやっていれば、自分でやれば良かったモノがそれでは立ち行かなくなる。そうした中で、経営者1番の悩みは、「キャッシュフロー」である。キャッシュの管理である。
月100万の売上と仕入れから、月1,000万円の売上と仕入れに変化する。そうすると、今までよりも扱う金額大きくなると、「楽」になるか?のように錯覚する。が、この考え、発想は根本的に間違っている。売上規模が拡大すると、キャッシュフローは厳しくなる、マイナスに動いているのである。
月100万円の売上なら、手元に500万円でもあれば、何か不足の事態が起きても対処可能だが、これが月1,000万円になれば、500万では1ヶ月の仕入れ代金すら払えない。手元に2,000万でも3,000万でも抱えておかなくては、安心できない。じゃあ、どうやって、2,000万、3,000万ものキャッシュを増やすのか?そんな簡単に増やせる話しではない。
これが売上規模が10億の会社であれば、手元に1億あっても不安である。2億、3億となくてはならないが、そう潤沢なキャッシュを保有している会社はそう多くない。ましてや、100万や200万なら経営者個人の負担で何とかできるが、これが、1,000万、2,000万、もしくは、1億、2億を今月中に用意しなくてはならない、となれば、それはほぼ不可能である。
売上が拡大した会社では、キャッシュフローが相当厳しくなる、ということを事前に自覚しておく必要がある。売上が多いから安心では決してない。一方で、売上が規模が小さければ、これから先の投資はできない。それもまた、行き着く経営はジリ貧となる。