他人からポンともらったお金なら、気づけばすぐに無くなってしまう。何に使ったのかさえ覚えていない。その金額が多い、少ないにも関わらずである。一方で、苦労して苦労して額に汗して得たお金は、すぐには使えない。本当に必要なものにだけ、使おうとする。慎重に使おうとするはずである。
これは、経営にも当てはまる。
「簡単に儲けるビジネス」をしたいと誰もが思うし、そう見える隣りの芝生は青く見えるかもしれないが、実際には、そんなものは存在しない。仮に存在しているように見えても、一瞬のことであって、そんなビジネスはすぐに市場から撤退してしまう。
今目の前にある「売上・利益」がこれから先も永遠に続くかのような錯覚に陥ってしまうのである。そんな保証はどこにもないのに。なので、来月も決まった売上が回収できると思い込み、手元にあるお金を、無節操に使ってしまう、そんな雑な使い方がまかり通ってしまっている。気づけば、手元のお金はなくなり、何に使ったのかさえ忘れてしまう、そういう使い方をしてしまうのである。
一方で、苦労して苦労して得たお金であれば、使う際は慎重に慎重に使うのである。本当にこの使い方で正しいのだろうか、吟味に吟味を重ねて、細心の注意を払って使うのである。さらには、使った後の費用対効果もしっかりと確認する。意味があったのかなかったのか。それをしっかりと確認する。油断しない。同じミスを繰り返さない。何度も何度も確認する。それくらい慎重になる。
常に、この心持ちを忘れてはならない。
また、経営の危機を抜け出すと、気を抜いてしまうのも人間である。
資金繰りに困り、他の人の助けを借り、なんとか融資を受けることが決まったそのあと、そのお祝いだ!と言って、社員全員の飲み会をしてしまう経営者もいる。金融機関の交渉を助けた人たちは、呆れかえってしまったそうである。「これからでしょ?」・・・と。
個人のお金も経営のお金も一緒。それを、意味あるお金にするかどうかは、経営者次第である。