経営のスタートは、お金の問題から始まる。始まるといっても、経営していく上でこの先もずっと続く問題である。
経営理念、ビジョン、これらも重要であるが、何はともあれ経営であれば、お金、資金の重要性はとてつもない。モノを仕入れるのにも資金がいるし、人を雇って給料を払うのにも資金がいる。経営をスタートさせるためには、必ず資金が必要になる。
この資金がやっかない問題が、ここではキャッシュと変換するが、キャッシュは、使わないと増えない、使うと減るという問題である。さらには、キャッシュを確保するのは至難の業である、ということである。
▶︎ キャッシュを増やすためには、投資をしなくてはならない。原材料を仕入れて、それを加工して、販売する。販売するために、店を構え、営業を雇い、在庫をしておくなどの経費がかかる。これも全て先払い。経費は先払いで、ここに相当なキャッシュが流れ込む。その上で、販売して、売上金を回収して、初めてキャッシュが増える。売上が増えると、実はキャッシュは減るのである。先払いする経費が増えるから、先にキャッシュが減る。
▶︎ キャッシュは使うと減るのである。至極当たり前のことを言っているかもしれないが、これを忘れてしまう、勘違いしてしまうケースが多い。例えば、経営において10万円の損失が出たとしよう。その10万円を大きい損失と取るのか、簡単な損失と取るのか、この商品が売れたら10万なんてあっという間だ!というような発想が多い。もちろん、対外的に社内的にはそれでいいかもしれないが、心の内では大きい損失と捉えなくてはならない。なぜなら、その10万円のキャッシュを生み出すためには相応の負担が発生するからである。簡単なものではない。しかし、経営していく上で、扱う金額が大きくなればなるほど、10万、20万という金額が端金になっていく。鳥の目、大きな視点も大事だし、虫の目、小さな視点もどちらも重要であって、ケースバイケースで使い分けて、考えていく必要がある。
▶︎ キャッシュを確保する1番の方法は、融資を受けることだが、これが難しい。運転資金融資は、ほぼ通らないと考えた方が良い。もちろんチャレンジすることは、大事な事だけれども、なかなか通らない。なぜか?運転資金確保したい場合には、運転資金が枯渇しているケースがほとんどであるからである。すでに、経営者自体にマイナスの実績が乗っかっているのである。そこに、運転資金として融資してくれるケースは、そう多くない。本当は、資金を確保できている間に借りるのがスマートではあるが、それができる経営は多くない。運転資金を借りるのは、困難である、という覚悟は必要である。
経営は、お金で始まる、お金で悩む、これが現実である。