㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
苦しみがあれば、そのあとには必ず喜びがやってくる
これは、苦しいことを我慢すればそのうち事態は好転する・・という楽観的な発想ではない。そういう外部環境の変化がいつか自分にとってプラスになるという、話しではない。
困難や逆境の中にある時、その困難い立ち向かったものだけが、乗り越えることができるというものだ。
通常経営の中では、思いもしなかった事態がある日平然と起こるかもしれない。そう思っていても、実際には、そういった対策を打てない。今回の円安やウクライナ戦争による穀物相場の変動によって、輸入穀物相場の不安定さが露呈した。もともと不安定だったものが、誰もが気づいただけのことなのだ。
これによって、より一層、自給飼料に力を入れていこうと考える酪農経営者も少なくはないだろう。平常時であれば、気づかなったこと。これに気づかせてくれたのが、今回の不況であろう。
もちろん、これは農地の問題、面積、機械、植生、言ってしまえば全て課題であり困難なことである。しかし、これを乗り越えてこそ、優秀な経営者である、ただそれだけのことである。できない理由は誰でもできる。実際に行動を起こしてこそ、その行動が全てである。
困難や逆境は、今あなたの経営に足りないものを「教えてくれている」=「解決策」である。
僕は、消費者目線で見た場合、乳価がこれ以上フレキシブルに上がるとはとても思えない。実際に、乳価が、飲用で10円、加工で10円、という形で末端価格では20〜30円上がっている。そうした中で、消費は確実に落ち込んでいる。地元のスーパーを見れば、牛乳は売ってなく、低脂肪乳が軒並み並べられている。
さらには、酪農家の奥さんに、「あなたが300円の牛乳を買いますか?」と聞けば、躊躇うであろう。実際に、400円するオーガニック牛乳が売れていないのが、その証明であろう。
つまり、この先、外部環境がどう変わろうが、乳価はそこまで上げることができないという現実が、今突きつけられているのである。
あるアンケートで、酪農経営改善の方法として「乳価が上がる」こととあったが、それは、絵に描いた餅である。乳業メーカーとの交渉はさらに難航するであろう。
こうした外部に頼るのではなく、自分の自助努力で何とかするしかないのである。
これも、今回の不況が教えてくれたのである。常に、「長期的スパンでのコストダウン」に投資しなくては生き残れない・・・そういうことだ。前回のブログでも書いたが、時代は、「ただ作ればいい」「作ることの難しさ」などから変化したのだ。「良いモノを安く作らなくては生き残れない」そういう時代に突入したのである。