㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
需要(欲しい)に対して、慢性的に商品の供給(売りたい)が過剰となり、需要(顧客)の側が、厳しい見方の選択権が存在するようになったこと。
なぜ、米が安いのか?
なぜ、卵が安いのか?
なぜ、牛乳が安いのか?
では、これらの販売価格を上げたとき、何が起こるのか?
1970年代までは、人口が爆増していた日本では、作れば売れた時代。ところが、それからは、「買い手市場」になっている。つまり、安くても欲しくないと買わない、例えば、北海道では卵がスーパーから消えていたのですが、最近では、10個300円でも、売れているようです。
こんな買い手市場で生き残る会社とは、どんな会社か?というと、B to C の世界では、ユニクロやニトリ、セブンのような、「ものが良い」「安い(お手頃)」安くて良いもの、を提供する会社が、継続して生き残り続ける会社でしょう。
ところが、彼らのような戦略をマネするのは、至難の業です。彼らの発想、実行、行動力は、桁外れで、知れば知るほど、小規模零細にはマネすることはできません。
しかし、彼らだって最初から会社が大きかったわけではありません。
最初はベンチャーからスタートしています。なぜ、そこまで成長させることができたのか。
酪農経営において、確かに牛乳は消費者が飲む物です。だから、消費者に買ってもらう・・・のは、合っています・・が、販売の拡大は、酪農経営者の仕事ではないと思っています。
酪農経営は、生乳を作ることが仕事で、牛乳を作って売るのは、乳業メーカー、小売店の仕事だからです。努力すべきは、生乳を作ることだけなのです。
もちろん六次化などを考えるのであれば、消費者に・・というのは必要ですが、この対消費者販売も決して安価な道のりではないことだけお伝えしておきます。明治などのメーカーと競合しようというのは、不可能だということがわかると思います。
今現在のこうした乳業メーカーの販売戦略が、「酪農家のために」というお願い戦略しかないのであれば、実際にその効果はかなり薄いと思うのです。過去、米農家を守るために・・で成功した事例はないからです。
となれば、酪農経営者は、長期的なコストダウンに力を入れていくしかありません。原価の見直しに関する自給飼料、人件費労賃の機械化ロボット化、人材の教育と再生、牛の能力の改善、これら全てに着手して、長期的に今よりもコストを下げていく努力をすることでしか、経営は良くならないと思います。
何度も言っていますが、この先需要が増えることは、人口が減る以上ありません。もしくは、輸出です。輸出となればさらにコスト競争にさらされます。その準備をし続けなくてはならないと思います。