(株)DCFサービス 酪農コンサルタント 代表 中野です。

先日、漫画「会長 島耕作」を何気なく読んでいたら
クリスパー=遺伝子編集技術 のこと
が登場していました。漫画8巻に未来の新技術として登場します。
今までに聞いたことがある人もいるかもしれません。
僕らの畜産業界や農業分野でも非常に興味深い話しになっていました

「クリスパー」は遺伝子組み替え作物と何が違うの?という疑問がすぐ浮かんでくる人が多いと思うのでまずそこから解説します。
遺伝子組み替え作物ととは、作物同士の交配による掛け合わせの中で100分の1の確率で希望する遺伝子が残った品種を探す作業のことです。希望する遺伝子とは「特定の薬剤に耐性がある」「収量が劇的に増える」などです。
交配した上でその作物を一度育て試験をして初めてその遺伝子の可能性を知ることができるといったものすごい時間のかかる技術な訳です。
ただし、その作物が完成すると農薬が的確に使用でき大幅なコストダウンが可能となっています。また、タネ自体もF1品種のため次世代のためのタネが作れないように調整されており種苗業界にとっては都合の良いタネとなっています。

「クリスパー」はこの遺伝子DNAに対してピンポイントで編集が可能となるということなのです。
今まで遺伝子組み替えで行ってきた膨大な時間を大幅に縮小できる技術なんですね。もちろん、植物に限らず同じくDNAを持っている動物や人間にも可能になります。難病指定とされている「筋ジストロフィー」や「HIV」などの治療も可能になり、治療根治が難しい「ガン」や「糖尿病」もIPS細胞と組み合わせることで治療可能になる。人の医療という分野ではどんどん技術が進んでいるようです。
家畜や作物では肉量の多い牛・豚を作ること、腐りにく野菜を作ることなんかも可能で、更にこういった情報の「収拾と解析」はもちろんビックデータとAIが利用され、GoogleなどのGAFAがこぞってこの分野への投資に乗りだしているそうです。

この「クリスパー」技術は人間の身体能力や頭脳にも応用ができます。スーパーベービー(高いIQ、高身長、美形などなど)を作ることも可能で、それこそSFの世界がもうそこまできています。
ただし、これは「パンドラの箱」となってしまうかもしれません。
ここから先の人間の進化は倫理観が問われます。
中国では「猿の脳に人間の遺伝時を埋め込んでみた」科学者が非難されている記事がありました。このようにマッドサイエンティストが恐ろしいことをしてしまうかもしれないリスクを抱えてしまったかもしれないということです。

願わくば人類の健康に使われることを願って・・・