(株)DCFサービス 酪農コンサルタント 代表中野です。

前回の続き

日本の食卓における一種の呪いとも言うべき「料理は手作りが美味しい」。この呪縛をどうイノベーションできるのか?ここで注意したいのは、何も料理を手作りしてはいけない!という話しではないという事。冷凍食品などの加工食品を使うことは「手抜き」とか、正しくない!という風潮に対しての考えの1つであるという事。
ある食品加工の会社の方は、こういった加工食品を使うことで消費者に「罪悪感」が生じるということ自体に、自らが罪悪感つまりは悪いことしているのでは?と考えてしまうなんて声もあります。

なぜ?我々はこういった「楽をする」ことに対して、「罪悪感」を感じてしまうのか??それには宗教や道徳という観念が影響していると分析しています。よく信じられている一説に、キリスト教では「富そのものが罪である」とか「富や物質主義は避けるべき悪」なんて文も存在している。また、日本の道徳に大きな影響を与えている儒教(孔子)でも、「お金を卑しむ」「清貧」といった考えがある。
ここでは分かりやすく、「お金儲け」を例に解説するが、キリスト教も儒教も実際はお金儲けを否定してはいない。先ほどの一説には前提が抜けている・・それは「悪い事をして・・」である。悪い事をしてお金も儲けるのは罪である、悪い事をしてお金を儲けるくらいなら貧しい方が良い、こういった前提条件がいつの間にか抜けて、お金儲け=悪というイメージだけが根付いている。

この事とフードテックに対する考え方は似ている部分がある。
つまりは、我々は食事に対して「栄養を補給する」ことだけはなく、コミュニケーションの場である、という側面がある。もし、あなたに家族がいれば必ず家族と食事をするであろう。その料理の過程において苦労しようが楽をしようが、コミュニケーションがとれる場であれば、このお金儲けと同じようなことが言えるではないだろうか?
なぜ?人は外食をするのか?それは、お祝いだったり記念日だったり、美味しいものを食べたかったり、それぞれである。

さらには、「料理自体を楽しむ」という側面もある。
これは、IoTによってセンシングが発達した調理器具においては、この調理器具自体が料理を教えてくれるなんて機能も考えられている。

次回はいよいよフードテックのテック部分にスポットを当てる

あなたの経営の参考になれば・・・