㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

生乳廃棄問題に関して、誤った認識が広まらないようにと・・余計なお世話だが数字的事実を抑えておきたい。

先日こんな投稿がありました。
ほとんどのヒトは、分かっていることかと思いますが、万が一にも誤解される方が僕の身の回りにいると不憫なので、説明したいと思います。

この方は、こうおっしゃりたいんだと思います。
「生乳が余る状況であるのにも関わらず、なぜ?こんなにも乳製品を輸入しているのか?」「輸入を減らして、国内生産の枠を確保することが・・・」というのが、主な主張かなと思います。

これは、全くの間違いの主張である事は、わかりますよね?
この程度の知識がないヒトが世間に誤報を撒き散らすのがSNSの怖いところですね(厳しめの言い方をしますが・・)。

その反論の理屈を順序立てて、解説しますと
1. 乳製品のチーズの生産を増やすと乳価が下がる
 当然のことですね。特にチーズ乳価は安いですから、作れば作るほど下がるでしょう。その価格差を国が補填するとなれば(加工補給金)、どれだけの原資が必要になるのか?単純な話しです。
2. 関税の問題
 乳製品の輸入に関して、alic(エーリック = 農畜産業振興機構)が管理していますが、輸入商品に関してはがっつりと関税がかけられ、それがそのまま酪農家への補助金という形で使われています。因みに、飼料原料は関税がかかっていないので、国産脱脂粉乳を代用乳に使うとその価格差が3倍となるわけですね。

細かい事は省きます。
「規制されているからこそ、乳価を維持するために乳製品を、特にチーズは輸入に頼ると」いう理屈があるわけですね。

世界の酪農と日本の酪農の乳価の違いに関して
日本・・・100~120円
中国・・・ 70~80円
アメリカ・・70~80円
EU ・・・45~55円
と大体なっているが、これは飼料が高いとか土地がないとか、そういった原価・コストの問題ではなく、チーズをどれだけ作るのか?というのが、1番の原因なのだろうと思う。

さらに、アメリカでも中国でも日本と同じように
酪農家戸数はどんどん減少して、1件あたりの頭数はどんどん増えている。
テクノロジーが進化している中で、生活必需品は原価低減や効率を求められる。
こんな事、世界中どこでも当たり前のことなのである。何も日本だけが、酪農産業だけが特別な話しではないが、知らなければ視野が狭くなる。これは、経営者として本当に気をつけたいところだと思います。