㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
ある精神科医が分析しいている「自己正当化」という病気が、今後の経営に役たつと思って紹介したい。
「私は悪くない」と思いこむ病のことを「自己正当化」という。
どれだけ他人を傷つけても、周囲から批判されても、自分が悪いとは思わない人は、知らず知らず自己正当化していることが多い。
この話しを聞いて
僕はすぐに今の酪農情勢について思った。
今、飼料や肥料が高騰し、今までよりは確かにコストが上がったのは間違いはない。それに対して、政治が悪い、農水が悪い、ホクレンが悪い、農協が悪い、の大合唱になっている。
自分たちが損をしている分、誰かが補填すべきだ!という、根拠のない主張の裏には、「自分たちが食糧を生産している」という自負があると思う。自分たちが牛乳を作らなければ牛乳が飲めなくなるぞ!と脅し、自分たちを正当化している。
でも、冷静に考えてほしい。
日本に必要な産業はなにも酪農だけじゃない。製造業も、インフラだって、あらゆる産業が、日本の人達を支えている。
この、自分は間違っていないと思いこんだとき、自己正当化が強くなる典型ではなかろうか?
仮に、自分が正しいとしても、名指しで農水職員を吊るし上げることをしてもいいのだろうか?ましてや、相手が歯向かって来ないことをいいことに、どんどん攻撃する。
これは何も、酪農だけの話しでもない。
あらゆる場所で、あらゆるタイミングで、ニュースでも取り上げられているように、自己正当化する人は存在する。
その中で、はっきりと断言しておく。
経営者がこの「自己正当化」を始めたら、その経営は終わりである。
この自己正当化は、究極の他責思考であるからである。
今、酪農経営者の多くが、酪農不況によって経営が悪くなったと言っている。しかし、酪農経営コンサルタントという仕事をしている僕からしたら、酪農不況が起きる前から、酪農経営は良くなかった。
今、盛んにニュースで赤字割合が85%?と言われているが、以前も80%以上、赤字だったと思う。そこまで増えてはいない。(日本の赤字経営割合7割)むしろ、赤字黒字の前に、キャッシュフローが悪化しているために、騒いでいるのだろう。
さらに、この自己正当化の思考は「例外傾向」が強くなるという。例外傾向とは、自分だけ例外である、特別である、という思考だ。
自分は年間1,000万円もエサの取引をしている大お得意様である・・だから、エサはもっと安くすべきだ。
自分だけは、機械をもっと安く買えるべきである。
自分だけは・・例外的に、何か特別なリターンがあるべきである・・というこの例外傾向は、本当に事例が多い。
自分にだけ挨拶が来ない・・自分だけこれで得することができた・・こういったことは、SNS上に溢れている。
もう一度、言う。
経営者がこの自己正当化したとき、その経営は終わる。