㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
先日、こんな質問をされました「酪農は家族経営でないと儲からないと思うんだけど・・どう思う?」
まあ、この質問あるあるですね。
こういった思考をしている酪農経営者は、全体の80%以上は存在しているでしょう。
良いですか、冷静に数字で反論すると、酪農経営における売上は、生乳生産金額ですね。
売上 = 乳価 × 量 です。乳価は決まってます。とういうことは、売上を増やすためには、量を増やすしかありません。量は、乳量 = 個体乳量 × 頭数 です。売上を2倍にしたいとなれば、個体乳量はせいぜい10〜20%が上限なので、「頭数」を増やすしか、方法はありません。
とまあ、論理的に、説明できるわけですが・・・なぜ、こういった思考になってしまうのでしょうか?
なぜ、こんな簡単な理屈、つまり、売上が伸びない会社は潰れる・・という理屈すら、理解できないのか?
ここに、経営を知らない経営者の思考があるわけです。
<安定思考(安定して儲かる経営をしたい)で、安定成長している経営はない>
会社を危険に晒したくない、それをやって失敗したらもったない、絶対に成功する保証はない、こういった思考が正しいと世間一般では思われています。
一般人には、成長している会社と成長していない会社の区別もついていません。
多くの人は、黙っていても会社は成長する!と思い込んでいます。黙っていても、なんやかんや、会社は生き残れる、利益は将来増えていく、そんな風に考えています。これは、サラリーマン思考と言います。年功序列思想(年をとれば給料増える)です。
そんなものは、経営には存在しません。
利益が増えるのは、経営者が利益を増やしたい!と思い、リスクを背負って行動したからになりません。
この理屈が理解できません。
なぜ、リスクを背負って投資、行動しなくてはならないのか?
顧客である牛の要求はどんどん増えるからです。つまり、粗飼料の品質と量に関して、もっともっと良いモノとたくさんの量と言ってくるわけです。たくさんの牛を抱えようとすれば、それだけの人材、作業機械も必要になります。さらに、ゲノム検査、繁殖管理ソフト、センサー、さまざまな投資をしなくてはなりません。
乳量が30キロのままでいいや・・という発想では、この先 生き残れない。では、この先10年後、乳量35キロでは生き残れないのではないか?この発想ではないと生き残れないかもしれません。
経営者は、現在もしくは未来の成果を最大化するために存在しています。
これを実現しようと思えれば、挑戦すべきことはリスクを恐れず挑戦する。突っ込んでいかなければならないような時には、思い切って挑戦する。この精神が必要なことはわかるはずです。
「このままでいけば」「乳価が上がらないかな」「エサの値段下がれば楽なのに」という発想では、とてもこの先生き残れません・・というのは、経営者自らが1番わかっているはずです。