㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

日本はあまりにも安すぎる、だから、値上げは当然だ。
牛乳の値段が、水より安いのはナンセンスだ。おかしい。

今さまざまな食品、商品の値段が上がっています。
値上げは仕方ないし、今までが安すぎたと思う、一方で「消費者理解を進めて」高くても買ってもらう・・という思想に疑問を感じます。

地元の飲食店が「経営が苦しいから、値上げするので、でも買ってください」という行為に対して、「応援します」という少数派の陰で、多くの人は、なんで?と思うはずです。値上げしたけど、また食べに行きたいと思うかは、買う側が決めることであって、お願いして願いが通じる商売なら、誰も苦労なんてしないと思うのです。

これが、酪農家だったら。
これが、ユニクロだったら、どうでしょうか?値上げしたけど、お願いします買ってください・・で売上が維持されるでしょうか。
これが、ニトリだったら・・値上げはしょうがないんです、だけど買ってください。結果、売上が下がったとして、政府が介入して援助するんでしょうか。

世界モーター生産世界一のニデック(日本電産)の株主総会を見たところ、永守さんは「世界で1番のモーターをどこよりも安く届けるんや」とおっしゃっていました。もちろん、安ければ何でも良いわけではありません。しかし、一方で高ければなんでも良いわけでもありません。適正価格というのものがあるはずです。
それは、誰が決めるのか?
マーケット、市場です。欲しい価格と、売りたい価格のせめぎ合いによって決まるのです。一方の理屈だけは価格は決まりません。

現実に、2023年3月から、乳製品の売上金額は5%以上ダウンしています。これは、販売金額を10~20%上げたことを加味すると、15%ほど売上が落ちたことを意味しています。実際に、乳業メーカーの売上は10~15%ほど減少しております。
さらには、先日の予測ではこのまま、さらに売上が5%下がれば、脱脂粉乳の在庫が積み増しされるリスクがある・・と予測されていました。最も売上が増える夏相場でのこの予想は、かなりの悪影響を示しています。
さらに、8月には更なる値上げが決まっています。予測不可能です。

酪農経営における、値決めは、すでに決まっています。自分の力ではどうしようもありません。
これは、酪農経営だけではなく、どの企業も一緒なのです。自分が決めるのではなく、マーケットが決めるのです。一緒なのです。
では、我々は何を努力すべきなのか?
原価を下げることです。原価を下げる努力をする、ということです。
「安全安心で美味しい牛乳をお手頃な価格でみなさまにお届けします」が、最も消費者が望んでいる形だお思います。