㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

よく聞く「経営を維持する」または、経営を安定させたい!ということを言っている経営者がいるが、それは不可能である。経営は絶対に安定しない。あのユニクロやマクドナルドだって、いつ何時潰れるか分からないのが経営だからである。
ましてや、弱小の小規模零細経営で安定させようとは、不可能なのである。

「いつ潰れるか分からない」この恐怖をいつも感じているのが経営者の通常の精神状態である。不安定でちょっとイライラしてしまう・・・そんな精神状態が通常なんです・・・経営者は。

創業まもないベンチャー企業は、日々、生き残れるか、資金が持つのか、潰れるかどうかの瀬戸際での戦いを迫られる。その中で、実際に成長し(成長とは企業価値が増えること)、飛躍できる企業はごく僅かである。生き残って成長の花を咲かせるにはどうすればいいか。
こんな事ばかり考えている経営者がいても、バタバタ潰れていくのが経営である。

そんな経営の中で、酪農経営にだって例外はない。
「安定したい・・」なんて考えている経営からどんどん衰退していく。どうすればもっと、どうすればもっと成長できるか、どうすればもっと売上を増やせるか、どうすればもっと効率が良くなるか、真剣に考えていかないと生き残るなんてとてもできない。
通常の企業であれば、キャッシュ状況が悪くなるとほぼ再建は不可能なほど落ち込んでしまう。キャッシュがあることが企業の価値と言っていいほどだからである。
日頃の作業と「キャッシュの管理」、つまりは、財務への無頓着ではとても経営を維持できることはない。

あるコンサル先で、機械導入を考えていて農協とローンの交渉の中、「クミカンの数字がこの酪農不況下の中でも減っていない。だから、ローンを組ませてくれ」という説得で通した。これなんかは、非常にわかりやすい例で、結局のところ、キャッシュ管理、赤字がどうとか、黒字がどうとか、自己資本比率が30とか、それらの数字の前に、キャッシュを増やせるかどうか・・なのである。
そこで、入ってくる売上金と、支払うべき支出金に対して、過敏なほど敏感でなくてはならない。これは、経営者に絶対に必要なことなのである。

2023年もいよいよ後半になってきた。今からたった半年しかない。いや、半年もある。まだ、半分もある。今からでもどうしたら、キャッシュが増えるのか?どうしたら、キャッシュを減らさなくてすむのか、頭がすり減るまで考えるしかない。
そして、重要なのは、その考えるための原資である。
それは、自分の考えだけではなく、先人たちの苦労を参考にさせていただくことだ。つまり、「本を読め!」(参考までに・・永守流 経営とお金の原則)ということである。時間がない、忙しい、そんな暇はない・・・分かる。僕だって同じだ。でも、自分で考えるだけ、人に聞くだけでは限界がある。そんなとき、どれだけの優秀な経営者の疑似体験ができたかで、自分の経営に対する考えは変わるはずだ。経営とは トライ アンド エラーの中で、うまくいく方法を見つけていく。
忙しいとは思う。でも、1日15分でも30分でも、そうしたちょっとの勉強があなたの経営を変えてくれると、僕は思っている。