㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

子供が学生のうちは、小学生・中学生はもちろん高校生、大学生も「親の方が子供に何かをしてくれるのが当たり前」と考える傾向がある

こんな話しがある。
ある大学生が、起業を考えていると言う。が、親が話しを聞いてくれないと相談を受けた。両親は豆腐屋を営んでいて、忙しくて話しを聞いてくれないというその学生は両親の職業について「たかが豆腐屋」という言葉を使っていた。不満を述べる学生に、私はこう話した。
ーー「たかが豆腐屋」と君は言う。しかし豆腐店というのは朝早くから作業をしなければいけない大変な仕事だ。君も知っていると思うが、早朝から何時間もかけて豆腐をつくり、お店にだし、飲食店にも配達し、お店が終わった後には片付けや翌日の仕込みがある。
ご両親は必死に働いて、君を大学に行かせている。君の大学の授業料やお小遣いを捻出しているのだ。それなのに、君はご両親が話しを聞いてくれないなんて言っている。それでは起業してもうまくいかないだろう。

この話しを聞くと、この子供が「親の方が子供になんとかしてくれるのが当たり前」という発想に疑問を持つ人も多いだろう。
この話しを読んだ時、僕はこう感じてしまった。
「国の方が国民になんとかしてくれるのが当たり前」と考えている経営者がいるんじゃないのか?・・・と。

何度も何度も言う。
経営者は、特に経営者は、経営が悪化して潰れても誰も助けてくれない。家族でさえ助けてくれないのが経営者である。国が、ホクレンが、農協が何とかしてくれる・・なんてのは、この子供の発想と同じである・・と。
誰も助けてくれない・・から、自分で何とかするしかない。
コロナ牛乳ショック、暑熱による影響によって、さらに追い討ちをかけるように、酪農経営を圧迫されている。感覚的な感想だが、「キレやすくなっている」傾向があるように思う。肉体的な苛立ちに加え、精神的な苛立ちが倍増され、キレやすくなっている。・・・が経営者はキレては負けである。
キレてしまった人間の周りには、何も残らないのである。
そして、その「キレる」が、経営に向かった時、その無気力によってさらに自分の経営を悪化させる。

自分で何とかするしかない状況で、さらに自分の環境を自分で悪化させる。愚の骨頂である。しかし、おそらく、この酪農不況下で多くの酪農経営はそうなっているだろうと推測する。キレてキレて、その先に、何も生えてこない抜け殻の経営が残るだけである。

キレないで何をするか・・・
今、自分の経営に必要なことを1つ1つ確実にやること。
冷静に考えて欲しい。酪農不況の今、過去最大の自分の力・能力を発揮できなくて、いつ発揮できるのか、やるべき時は今ここである。
そして、それは何も難しいことをやれ!ということでもない。
確実に、1つ1つ、やるべきことをやるだけである。