㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。
自社で生産して、自社で売る(SPA=自社生産自社販売)のメリットを、単純に「コストが下がる」という風に我々は解釈してしまう。が、そうではない。通常の企業経営の中で、生産と販売を両方を行う企業というのは多くない。莫大な投資を行なって工場を建築、その上である一定以上の販売を確保しないと工場を維持できない。なので、多くの場合は、「作る」と「売る」を分けて専業化するのが正しいとされてきた。その方がリスクが低いということだ。
これはSPAのメリットが、「原価を下げる」が第一である、という意見だからだ。
SPAのメリットは、もちろん「原価を下げる」もメリットではあるが、それ以上に、ニーズに合わせて変化するスピードが速いことにある。どういうことか。売れる商品をもっと売れる商品へ変更していく、売れない商品は止めるもしくは改良していく、という変化を早くさせることができる。現場で現物を確認して、生産まで一本化できるからこそ、スピーディに対応できる。それが商品開発に繋がっていくという考えだ。これは、酪農経営にも同じことが言えると思う。
常に現場で起きている事件、事故に対して、その時、その時で「必要な対処」が変わってくるはずである。そこには必ずマニュアルが必要になる。「誰でも同じような処置ができる」これをマニュアルと呼ぶ。これは、完璧にすることで、どんな社員が作業をしても同じパフォーマンスをできるようにした。そのあとで、その次にやるべきことが、「真に必要なこと」を改善していくことにある。これは、おそらく経営者でないとできない、と僕は思う。なぜなら、マニュアル外の事をやるには、必ずリスクがあるからだ。一方で、それがうまいくいけばリターンがある。
自分で生産するメリットは、この「改善」の余地があること。その改善が、正しいかどうかは、その時、タイミング・環境・資金面で全てが変わるということ。今は正しくなくても、この先、正しいというときが来るかもしれない、ということ。ここにメリットがある。