㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

経営している中で、赤字か黒字か。シンプルにそれだけで経営の良し悪しがわかるのなら、それで良いのですが、そうはいきません。
シンプルに、黒字になれば何でも良いのか、赤字だと全てがダメなのか、そう単純なことではない、ということです。なぜ、経営の評価がシンプルにできないのか。

数年前からキャンプブームが起こり、ブームの火付け役でもあったスノーピークという、どちらかと言えば高級路線の商品を扱っていた有名なキャンプ専門店の会社がありました。コロナショックの間、順調に売上・利益を増やしていましたが、ブームの終焉がきて、2024年株式市場から撤退することになりました。その時の決算が、売上257億円、営業利益9億円、純利益100万円という数字でした。純利益100万円・・・。まさしく、ちょい黒(ちょっとだけ黒字)。この数字が、経営の中で積み上げてでた数字ではなく、間違いなく改竄された、作られた数字であること。結局のところ、決算書における黒字も赤字も、そこにある数字が、経営の正しい数字である、という判断は、全くできない、ということです。赤字にしようと思えばできるし、黒字にしようと思えばできる、改竄できる数字、この作られた数字に意味はありません。

金融機関は、決算書の数字を基本的には信用しません。100%疑って数字を見ます。そこで、少しでも違和感があると、「全て嘘じゃないのか?」と疑ってかかります。自分は嘘をついていない!と言っている経営者も、あと1万円で、赤字か黒字か、決まると言われれば、必ず改竄するでしょう。黒字になれば、融資が通りやすい、ローンが通りやすい、そう考えるはずです。この1万円が、10万円となり、100万円となっていくわけです。そういう経営者を会社を、彼らは腐るほど見てきているわけです。
改竄して出た黒字経営も、経営者自身は、いつの間にか、それが自分の実力だと勘違いするようになります。改竄された数字を、自分の力だと錯覚するのです。

本当に自分の会社を何とかしたい!そう思っているのなら、今の自分の現実を受け入れることです。自分の本当の実力が、赤字なのか、黒字なのか。ハリボテの、作った数字に満足して、これでいい、わけがありません。自分の真の姿をさらけ出す勇気を持たなくてはなりません。
そこから、今の自分に足りないものは何なのか。何を改善すれば良いのか。誰かに指摘されたイラつく、むしろ指摘してもらってありがたい、そう思えるようでなければ、経営を良くしていくことは難しいでしょう。