失われた30年という、経済的成長がほぼない平成時代。その原因は、政治にある・・・というのが、一般的なようですが、僕は違うと思っています。この30年からこそ、経営者は学ばなくてはなりません。
前提として、高度経済成長は、「たまたま」という事実です。日本史において、天皇制がある時代から2600年の中で、過去最高のラッキーだったという事です。残念ながら、僕らが生きている時代には、ああいうラッキーはもう起こらないと考えた方が良いでしょう。ただの偶然です。
朝鮮戦争による製造業の活性化と、人口増による需要の拡大、この2つが原動力になって「たまたま」経済発展することができた。これが現実的な回答です。
問題なのは、この「たまたま」を、我々は、自分の実力だと勘違いしたことにあります。我々はすごい!という勘違いをしてしまったということです。いまだに日本の技術力は凄い、と本気で思っている人がいるようですが、今現在、そうでもありません。何と比べるかはさておいて、日本だけの素晴らしい技術なんてものはありません。
この30年を振り返って、「犯人探し」をしたところで、それには意味がありません。だって、理由は、自分は凄いと勘違いした国民全体ですから・・・。だけれども、誰かのせいで、自分が稼がない、自分の給料が上がらない、誰かのせいにしたいだけなのです。
経営者が学ばなくてはならないのはここです。「驕れる者も久しからず、盛者必衰の理を表す」ただのラッキーを、自分の実力だと勘違いしたところに、この30年の呪いの根深さがあるのです。これは、会社経営でも大いに起こり得ます。自分の会社の実力がどこにあるのか、ただのボーナスで上手くいっているだけではないか。謙虚さではなく、冷静に自分の実力を分析して、コツコツと積み上げることをやめないこと。
経営が上手くいっている・・・これ自体は確かに喜ばしいことです。しかし、これが、たまたまなのか実力なのか、これを経営者は見極めなくてはなりません。自分の実力を勘違いすることこそ、恐ろしい事はありません。