キャッシュフロー経営の基本、会社経営における潤沢なキャッシュを持って経営する、その基本は、理解しづらいような難しい問題、ではない。至極当然であり、単純なモノである、が、それを実行すること、これが難しいのである。

会社におけるキャッシュ、資金、このキャッシュを使うときは、経営に「必要なところ」に使うべきである。そして、「必要のないところ」には、決して使うべきではない。言葉にすると、これだけシンプルなことが、いざ、実行しようとすると、簡単なことではない。
これだけ、簡単そうに見えることなのに、何がそれを邪魔するのか?

「必要なところ」とは、経営における経費であり、コストであり、もしくは、将来の売上、利益のための、投資である。経費1つ取っても、それが必ず必要なモノなのかどうか、というのは非常に難しく、我々は、必要かどうかよりも経費のコストを抑えたいという幻想に縋ってしまう。コストを下げても品質を維持できる方法、という無謀を想像してしまう。そんなものはないにも関わらず。冷静に考えて、コストを下げても品質を維持、向上できる方法があるとすれば、もうすでにみんながやっているはずで、みんな困らないはずである。だから、「ない」のだ。
一方で「必要ないところ」には、惜しみなく、お金を使ってしまう傾向にある。ストレス解消、たまには気を許しても、年末年始だから、イベントなど、たまの休憩やご褒美、言い訳はいくらでも出てくる。これらは、その全てが、プライベートによるモノである。「必要のないところ」とは、主に、プライベート部分であることが多い。そこに会社のキャッシュを使ってしまう。これに歯向かえる強い精神を持てる人はそんなに多くない。

経営に我慢が必要だ、という言葉がある。経営者には、我慢、忍耐は不可欠である。この忍耐に耐えた先に、キャッシュフロー経営ができるのである。その忍耐がなければ、本人、家族、社員、全ての歯車は狂ってしまう。その悪影響は「必要なところ」にまで及んでしまう。無駄な故障や事故、これくらい大したことはない、という間違った認識。壊れてたら買えばいい、というような甘え。大した仕事をしていないのにも、給料が発生する。これが慢性化してしまう。この状態で、健全な経営などできるはずがない。