経営がピンチになった時に必要なものは、キャッシュである。
売上が減った、利益が減った。その減ってしまった売上や利益を回復させるには、なにせ、時間がかかる。3ヶ月で回復できるはずもなく、最低でも2年くらいは覚悟しておいた方が良い。
その2年間、会社が潰れないでやるためにも、手元キャッシュが重要なのである。おおよそ、月商の2ヶ月分ほど確保できていれば、何とか2年間は潰れないでやっていける目安である。その2年間で全力で売り上げと利益を取り戻す、これが、キャッシュによる経営の保険である。
この時間が稼げず、キャッシュが枯渇して、ビジネスから退場せざるを得ない状況になってしまう、そういうリスクがある。
酪農経営だけの話しではなく、日本経済全体がインフレ基調で、コストがどんどん上がっている。それに対する販売単価や、給料というものは、後追いでコスト上昇に追いつくほどのプッシュは今はまだない。時間はかかるが、徐々に追いついてくるはず・・である。それが1年後なのか2年後なのか、それまで潰れないために、そのための準備をしなくてはならない。その潰れないためのキャッシュ戦略をきちんと考えていたかどうか、それを実行できたかどうか。
最近の状況として、飲食店倒産件数が増加傾向にあるのも、この状況を意味している。コストが上昇しているそのコストを価格に織り込めるかどうか、一気に値上げすれば客離れを起こす・・その狭間でもがいているが、そのタイミングまでキャッシュが保つかどうか。これは、飲食店だけの問題ではない。他の産業でも同様である。
実際に、金融機関への運転資金の借り入れの申し込みは増えている。増えているが、そこから決済に至るケースは、多くはない。ゼロではない、が、かなり難しい。さらには、金利も徐々に上がっている。全てのコストが跳ね上がっている。その厳しい局面でも、経営を続ける、潰れない経営をするためには、キャッシュ戦略が重要である。もっといえば、経営が悪くなってから、急いでも遅い。それでは間に合わない。経営が良い時も悪い時も、常に、自分で決めたキャッシュ戦略を実行していかなくてはならないのである。
