(株)牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

2021年4月から新しい指標の1つとして、「デノボ脂肪酸」と「プレファーム脂肪酸」いう枠が追加されました。今回はこの数字をせっかくですから、理解してみましょう!

デノボ脂肪酸、まず、脂肪酸の説明からしましょう。脂肪酸と言われると、脂肪の種類、乳脂肪と関係あるのかな?と思われると思います。実は、牛にとって脂肪酸とは「エネルギー」なんですね。つまり、脂肪酸と脂肪は違うものという認識が必要です。脂肪は、脂肪ですが、脂肪酸は、脂肪ではなくエネルギーという認識です。
ちょっとマニアックな話しですが、脂肪酸の代表的な例として酢酸、つまりお酢があります。脂肪とは似ても似つかない形状をしていますよね?そうなんです。全くの別物という認識で大丈夫です。

対して、プレフォーム脂肪酸は、脂肪酸と名前がついていますが、血中に存在する「脂肪」と思ってください(厳密には違います)。血中になぜ?脂肪が存在するのか?それは、体脂肪動員などによって、身体の脂肪を削って、エネルギーを生み出す場合に、この数値が上がります。つまり「ケトーシス」状態にこの数値が上がります。

単純なことは、デノボ(脂肪酸)が多いと、「エネルギーが満たされている」ということです。プレフォーム脂肪酸が多いと、「エネルギー充足が足りない牛が多い」ということです。
牛は、単純に「タンパク質」と「エネルギー」さえ満たされていれば最低限の栄養は確保できる生き物です。栄養設計のほとんどはこのバランスを取るために行います。
今まで、タンパク質とエネルギーのバランスを確認するために、「MUN」と「乳タンパク質」を参考にしていましたが、それが、MUNとデノボを見ればよりわかりやすくなったということですね。

参考までに・・・
<デノボ脂肪酸の場合>
(全体で見れば)
・27%以下・・エネルギー不足
・30%以上・・エネルギー充足
(個体で見れば)
・22%以下・・要注意エネルギー不足(ケトー)
・28%以上・・エネルギー充足

<プレフォーム脂肪酸>
(全体よりも個体で大事な数字)
・50%以下・・分娩後60日以内
・40%以下・・全体としてはこの数字以下

これらの個体データを「全自動で」活用できるソフトの開発が急がれますね。
すると、病気になる前に・・・わかりますよね?