㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

経営がうまくいっている企業を研究して、それを真似しようとは誰もが思いつくことであるが、なぜ「企業を潰れていくのか」を考える方が、経営者にとってよっぽど勉強になる。
なぜなら、会社や企業とは基本的には潰れるものだからである。
同じことをしていれば、何もしなければ、普通は潰れるものである。

なので、日本では小規模零細の赤字比率は7割であり、企業の平均寿命は20年となっているのである。では、どうしたら潰れないか、経営者の使命は「会社を潰さないこと」であるため、この潰れてしまった原因を知り、同じ失敗を繰り返さないことが重要ではないか。

2023年の年が明け、営農計画が始まり、1年の計画を立てている時期である。この2023年は、酪農経営にとって厳しい年になる・・・なんて考えている経営者は、やばいと僕は思っている。経営において、良い年も悪い年もない。つまりは、外部環境によって、経営戦略を大きく変えるなんて発想をしている時点で、経営戦略になっていない。
問題の本質は、経営戦略を決めること(意思決定)ではなく、「実行する(行動する)」の方法論を考えることにある。方法論で悩むのは理解できるが、周りの雰囲気に共感して、なんとなくヤバそう・・なんて発想をしている経営者は、やばい。
では、酪農バブルと呼ばれた好景気の時に、経営者としてあなたは何をしてきたのか・・・と言われて、スッと答えられる人はいないだろう。キャッシュを2000万残せましたとか・・・何もない。結局は、そこであるはずの利益と内部留保がどこかに消えているのが実態である。
酪農経営の経営戦略において、外部環境は関係ないのである。

この外部環境によって、経営戦略を変えること自体、無意味である。
例えば、もう5年以上前から牛舎投資を考えていた人がいる。この人は、当時、「今は東京オリンピックが終わったら、建築コストが下がるからそしたら・・」と言っていた。するとコロナが始まって「コロナで先行き不透明で」「生産抑制が・・」「インフレで・・・」と次々、彼にとってマイナスな外部環境が起きている。そのため、ズルズルと計画は先延ばしされ、最後は「年齢的に・・・」という話しで、頓挫した。

自分の経営において、盤石の状態で、全てのピースがはまって、意思決定できる状況なんてあるのだろうか。これは、絶対に受かる東大受験がある、と言っているくらい非常識なことであるが、当事者は理解できない。だから、外部環境のせいにするのであろう。