㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

コロナショックが起きた2019年からみて、今現在、コロナウイルスの影響は無くなりました。コロナショックだけの影響ではありませんが、円安が進み、輸入商品の価格は上がり、業務用商品だけでなく、日常品まで商品価格が上がっています。
酪農経営だけが資材が上がっているわけではありません。他のさまざまな業種でも同じことが起きているわけです。

コロナショックによる経済動向を見てみると、コロナ給付金やコロナ融資の影響もあり、2020年、2021年の企業倒産件数は、過去最低にまで下がっていて、いました。政府による救済政策より、倒産件数は歴史的な低水準だったわけです。
ただ、倒産件数が減る一方で、休業する会社も増えました。いわゆる「ゾンビ企業」です。ゾンビ企業とは、実質的に経営が破綻しているにもかかわらず、融資返済を利支払いだけで、継続しているような会社です。
2023年、2024年になり、このゾンビ企業が少しずつ諦めはじめ、事業を畳みはじめました。それが今の状況です。
これと同じ現象がまさしく酪農業界でも起きています。

コロナ1年目、2年目は、赤字経営だとしても言い訳ができました。が、コロナが明けた現在、その言い訳は通用しなくなっています。実際に、2024年から飼料安定基金も発動しません。肥料高騰対策も無くなるでしょう。同じように、救済措置としてのコロナ融資は、ほぼ審査が降りません。
これからまさに、実力の世界での戦いになるわけです。
この状態でいまだに、過去の影響に対して愚痴愚痴言っているようでは、話しになりません。そういう経営が、徐々に市場から退場しているのでしょう。
全道酪農件数が、5,000件を切ったのが2020年、今現在は4,483件、2024年年度末には、さらに250~300件減って、4200件を切っているでしょう。さらには、資材や機械の価格は高騰し、今まで以上に経営を強化しなくては生き残れない、そんな状態になるでしょう。なので、6次化など新しい事業へ逃げたくなる人が増えるわけです。
しかし、本業で利益を上げることができない経営者に、多角化はできません。残念なことに、多角化は非常に難しい事業だからです。だからこそ、我々はまずは本業にフルベットするしかありません。