㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

基本的に未来は、絶望的であるという話し。

この仕事をしていると、酪農ってどうなっていくんですかね?と聞かれることも多い。そう聞かれると、はっきり言って、絶望的な未来しかない、と思う。
・件数はさらに減っていく(生き残りに必死)
 40年前は40万件で、現在1万件、北海道だけで年間200件は減っている
・牛乳の消費も減っていく(高くなれば飲まない)
 将来的に人口は減るので、飲む人は同じように減っていく。増えることはない。
・資材、飼料や機械はどうなるのか?
 じわじわ上がっていく、経費は増える一方。円安も影響するかもしれない

はっきり言って、一般論を聞かれれば、こういう未来が酪農の未来だと思う。
この未来を聞いて、やる気が出る人は少ないだろう。

しかし、1つだけ言えるなら、この未来は、酪農だけじゃなくてあらゆる産業・職種にも同じことが言える。
人口が増えるボーナスがあれば、あらゆる産業にとって「作れば売れる」という状態なので、作るだけでよかった。ところが、今は、「良いものを安く作る」という難しい課題がある、そんな時代なのだ。これは、どうしようもない・・誰も変えることができない現実だ。
ここで、じゃあ人口を増やそう!とか、それは我々の仕事ではない・・し、そんな簡単に解決しない。

我々がやるべきことは、自分の経営をどうするか?ということだ。

今、酪農不況と言われる世の中で、「酪農家が困っています」は嘘である。本当は、「酪農家全体じゃなくて、自分の経営が困っています」が正解である。自分の経営がうまくいかなくて困っているのが、本音だろう。
自分の経営がうまくいかない原因はなんだろうか?
・それは、飼料が高騰しているからなのか?
→ 安定基金は莫大に発生しているが、それはどこに行っているのか?足りないのか?であるならば、なぜ、今まで飼料高騰に対して備えてこなかったのか。なぜ、準備してこなかったのか?
うまくいかない理由は、いくらでも言えるのと同じように、それに対する反論もいえばキリがない。つまり、こんなことを考えても不毛なのだ。

問題は、自分が生き残るために、経営者としてどう考えるのか?ということだ。
自分の経営を真剣に考えているのか?ということだ。
個体乳量はもっと上げることはできないのか?事故を減らすことはできないのか?もっと効率よく作業ができないのか?色々細かい課題を全てやらなくてはならない。
その時、必要なのが「キャッシュ」なのである。
今回のセーフティネットを、ただキャッシュの穴埋めに使っている経営者と、未来への投資のために借りた経営者では、天と地ほどの差ができるだろう。当然である。
では、なぜ、穴埋めにしか借りれないのか、なぜ、投資のために借りれないのか、経営者なら、まずはここから考えなくてはいけないと思う。