㈱牛コンサル 酪農コンサルタント 代表中野です。

先日発表された乳価交渉の中で、乳業メーカーの本音がポロって出ていましたね。

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酪農スピードニュースから

乳業メーカーから見ると、牛乳事業自体が赤字である・・と。経営の足を引っ張っている状態である・・と。赤字覚悟で販売している・・と。これらを見て、みなさんはどう思いましたか?
確かに、スーパーの小売の棚を見ると、大手と言われる乳業メーカー、明治、雪印、森永の牛乳は、端にちょっことしかなく、メインは、よつ葉の低脂肪乳があったり、サツラクの低価格牛乳があったり、とこれらの低価格商品が目一杯棚を占拠しています。

大手乳業メーカーの本音として、もはや飲用牛乳ではなく、ジュースやお茶などの飲料の方が儲かる、というのが本音なのでしょう。残念ながら、これが本音でしょう。指定団体と乳業メーカーの交渉が、難航している大きな理由がここにあるのでしょう。この状態で、積極的に乳価をあげましょう!となるでしょうか?
なりませんね。

明治でいえば、全体の25%ほどの生乳を仕入れているので、720万トンのうち、180万トン、これに乳価115円(全国平均)だと仮定すると、仕入れ金額として、2,000億円の仕入れとなります。明治の売上金額は、1兆円を超えています。内訳を決算書報告から見つけました。

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明治IR

仕入れ2000億に対して、ヨーグルト、チーズ、牛乳で売上が2760億円。さらに、牛乳、飲用に関しては、5%の赤字。これが実態だということですね。飲用に関しては、これ以上、仕入れを上げたくないのが本音でしょうね。

これらの数字から分かることは、対乳業メーカーも「値上げに」期待できないということです。仮に、乳価を1円あげれば、彼らは1%以上の利益を失っていくわけで、必ず、末端価格ではそれ以上の値上げをしなくてはなりません。販売数量を落とさず、値上げをする・・というのは至難の業ですから、簡単ではありません。そんな都合よく市場が、消費者が動いてくれるわけもありません。

では、どういうことか?

酪農経営は、今の乳価と今のコストで何とかしないといけない!ということです。セーフティーネットで資金を融資されてる今。根本的な経営改善ができないと、この先、生き残ることはできません。これが真実です。
どうしたら、もっと牛乳消費が伸びるか?
どうしたら、もっと乳価が上がるか?
日本人みんなの給料が上がれば、そうなる可能性がありますが、そんな宝くじに当たるような可能性が低いものに、いくらお祈りしてもしょうがありません。

今、酪農経営者がやるべきことは、酪農の基本に立ち返り、本業に対して突き進むことです。つまり、それは、「売上を増やす、個体乳量を上げる、頭数を増やす」ことと、「トータルコストを下げる、生産性を上げる」これを同時進行で進めるという荒業をやり遂げるしかありません。
しかし、経営の悪化は待ってくれません。刻一刻と迫っています。まだ、時間があるうちに(資金があるうちに)、経営改善をしなくてはなりません。